横須賀の軍事遺産めぐり その2〜走水低砲台跡
三笠公園を後にして、旗山崎の地に造られた走水低砲台跡へ。
ここも猿島同様、東京湾への外国の艦船の侵入を防ぐために作られました。
草木が生い茂ってぼうぼうだったのを整備し、2016年からガイド付きツアーのみに限定し、公開されているそうです。
外から見るとただの小山で、ここに砲台が築かれていたとは思えません。
27㎝加農砲が4門設置されていました。
しかし、日清、日露戦争では使用されることなく、戦争は戦艦から飛行機の時代へ。
昭和9年には陸軍施設から除籍されたものの、太平洋戦争終結までは稼働可能な状態だったそうで、砲台は4つともきれいな状態で保存されていました。
こちらは第一砲座。
台座には大砲が据えられた跡が生々しく残っています。
第四砲座。
そのほか、レンガ造りの弾薬庫や兵舎も、中に入って見学させていただきました。
明治時代初期のレンガ造りの建物の特徴である、美しいフランス積みが見られました。
そして、砲座をぐるりと回るように設けられた散策路からの眺め。
この茂みの下には、江戸時代、台場が設けられていたと考えられているそうです。
ここは目の前を浦賀水道が通り、対岸の房総半島にある君津の街も見えます。
防衛上、重要な拠点だったことがよくわかる光景です。
当時の日本の国家予算の大部分を注ぎ込んで作られた設備のひとつ。
実際に戦闘で使用されることはありませんでしたが、この辺りまでやってきたロシアの艦隊が、いくつも設けられた砲台を見て引き返した、という記録が残っているそうです。
「持つことに意味があったんです。」というガイドさんの言葉に、理想だけではすまされない、国防や戦争をめぐる甘くない現実を痛感しました。