Musee:オットークンツリ展 at 東京都庭園美術館
今年の美術展おさめ。
東京都庭園美術館のオットークンツリ展へ行ってきました。
このポスターにハートをつかまれて。
素敵な写真ですよね。
モデルの方は舞踏家の石井かほるさんという女性です。
オットー・クンツリは、1948年スイス・チューリッヒ生まれのジュエリー・デザイナー。
といっても彼のジュエリーは普通のジュエリーではなく、「ジュエリーとはなにか?」ということを考えさせられる、独創的な美しい作品たちです。
それは身につけることのできるアートであり、個性を表現するファッションであり、コミュニケーションのきっかけ、そして財産にもなりうるもの。
ジュエリーの持つ、さまざまな可能性が表現されています。
たとえば、こちら。
「2人のためのリング」(1980年)
2人をつなぐのは、まっすぐな一本の棒。
常に同じ距離を保つよう強います。
ここでは、「身につけるもの」というジュエリーの特性、そして人間の身体とジュエリーの関係が問われています。
チェーン(1985〜1986年)
新聞広告を出して集めた48個の結婚指輪。
その持ち主一人ひとりにインタビューを行い、愛、別離、死、約束など、一つひとつ物語を持つ指輪を鎖状につないだもの。
こちらは来館者参加型のインスタレーション。
「ビッグ・ファミリー」(2015年)
テーブルの縁に設けられた343個のくぼみに、来館者一人ひとりがそれぞれ丸いものを持ち寄って置いていきます。
こちらは完成した作品です。
一見バラバラでありながら、全体としてなんとなくいい感じにまとまっていて、なんだか人間社会の縮図を見るようだなと思いました。
かと思えば、こんなゆるカワな作品もあります。
「ともだち」(1997〜1998年)
「ともだちとわすれなぐさ」
こういった「ジュエリーとは?」をテーマに制作されたものをコンセプチュアル・ジュエリーというらしいです。
アイディアを突き詰めて、ムダなものが全部削ぎ落とされたミニマルなジュエリーたちは、展示会場であるアールデコのお屋敷とも素敵なコラボレーションになっていました。
日本にインスパイアされたという作品たちの中で、少なからず赤と白の組み合わせが使われているのに「?」となっていたのですが、彼がインタビューで語っていた「日本では白に対する色は赤なのです。決して黒ではありません。」に目からウロコ。
もちろん白黒もあるけど、たしかに基本は「紅白」ですね!!
外国の方から見た発見が、日本人である私にとっても新鮮でした。
ひととおり見終わったら、新館にあるカフェでお茶を。
シフォンケーキ、オットークンツリ展限定の黒胡麻味とブレンドコーヒー。
黒胡麻と竹炭を練り込んだという真っ黒なケーキに、生クリームとイチゴの赤が映えます。
カフェで解説を読むの図。
そう、この展覧会は作品を解説するパネルは一切設置されていません。
代わりに会場図と作品について解説された小さな冊子が配られて、それを手にまわります。
解説は読んでも読まなくてもOK。
どうしてもパネルで設置されているとじーっと解説を読んでしまい、作品を見るのがおろそかになることがあるので、いいアイディアだと思いました。
美術館を出る頃にはすっかり暗闇に。
いつ来ても本当に素敵な美術館です。
※この美術展では、カメラマークの付いている作品は撮影OKでした。
本文中、写真を掲載している作品は、すべて撮影OKのものです。
★Information
東京都港区白金台5-21-9
Tel 03-3443-0201
オットークンツリ展
10/10(土)〜12/27(日)