うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

9月文楽公演 第二部「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」 at 国立劇場小劇場 9/9

9月文楽公演、第二部「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」を観てきました。

 

一昨年、2015年に大阪の国立文楽劇場で上演され、大変評判だった舞台。

待望の東京での公演です。

 

f:id:utakatax:20170914230807j:image

 

三国伝来の金毛九尾の狐。
この狐が世界を魔道の世にしようと、天竺(インド)、唐土(中国)、そして日本と三か国で暗躍する物語。
その日本編を上演。

妖狐ちゃん(勘十郎さん談)、大活躍。
帝の寵姫・玉藻前を食い殺し、怪しく光って、宙を飛び、ラストの七化け早替わりショーまで、ケレン味たっぷりで、勘十郎さんのオンステージ。
特殊な首を使っての、美しい娘から狐への変化は、本当に一瞬で鮮やかでした。

かと思えば、道春館の段は花の盛りの美しき姉妹の命をかけた双六勝負。
姉妹の母とかつて娘を捨てた父親、不思議の縁がからまって、涙涙のずっしり聞き応えのある場面です。

千歳太夫&富助さんの安定コンビが、今回も聴かせてくれました!

人形遣いも適材適所で、悪から善に戻る金藤次の玉男さん、後室萩の方の和生さんはさすが。

簑二郎さんの遣う、恋に身を焦がす姉娘・桂姫の美しさが印象に残りました。

 

文楽では珍しい、仕掛けたっぷりな面白さがあり、かつ聴かせどころもあって、楽しい作品。

物語の筋は予定調和(狐が暗躍するも、成敗されてしまう)で、聴きどころの道春館の段も決してよくできた場面ではなく、ちょっと物足りない印象もありますが、十二単の衣装や宮中が舞台の雅びで華やかな見た目も相まって、「文楽を見るのは初めて」という人にぴったりの作品だと思いました。
ケレン味たっぷりな演出と、それを存分に生かす勘十郎さんの自在な人形遣いで、客席は大盛り上がり。

文楽でこんなに沸く客席を見たのは初めてかも…」というほどでした。


かつて1982年に通しで上演したという、天竺編、唐土編もかけてくれないかなぁ…と思います。
ぜひ通しで観てみたい!!