うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

ボリショイ・バレエ 2017年日本公演 「パリの炎」at 東京文化会館 6/15

ボリショイ・バレエ 2017年日本公演「パリの炎」を観てきました。

 

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東京文化会館での6/15公演です。

物語は18世紀、革命前夜のフランス。

農民のジャンヌ&ジェローム兄妹がマルセイユ義勇軍に参加し、革命に身を投じるお話です。

 

ラトマンスキー振付の作品、初めて全幕を観たのですがアクロバティックで体操のようですね…。

物語の進行はマイムも交えてわかりやすく進行するので、演劇的な要素も強く、ちょっとミュージカルっぽい雰囲気もありました。

振付そのものにあまり魅力は感じませんでしたが、この作品は最初から最後まで、メインキャストはもちろん、群舞まで含めてずーっと踊りっぱなし。

ダンスも、アクロバティックな体操っぽいもの、クラシックで優雅なもの、民族舞踊のようなものまで、さまざまなタイプがあります。

これを身体能力が高く、しっかりとした技術があり、スタイルのよい人がずらりとそろったボリショイ・ダンサーが踊るのだからたまりません。

ボリショイの専属オケのぐいぐい煽って盛り上げる演奏もあいまって大迫力で、「これぞ、ボリショイ!!」という躍動感溢れる舞台でした。

 

とにかくワシーリエフの踊るフィリップが観たくて買ったチケット。
跳んで、回って、跳ねて。
全身がバネのようにしなやかで、弾むように軽やかで、かつ力強い踊り。
2幕のヴァリエーションでは、あまりの見事さに鳥肌が立つほど。
本当に素晴らしかったです…。
汗ビショビショで衣装の白シャツが肌色になっても、明らかに肩で息をしていても、一切の手抜きなし。
「舞台上で死んでも悔いなし」という感じで全力で踊り、何度も続くカーテンコールでははけるときにジャンプしてみせてくれるサービス精神。

演技はやや過剰気味なんですが、それを嫌味に感じさせないスターオーラ!!

彼が出てくるだけでぱっと場の空気が変わってしまいます。

ゲストダンサーとしての出演なので、ジャンヌを踊るクレトワに花を持たせようと、一生懸命サポートしているのも印象的でした。

とてもチャーミングなダンサーですね。

彼みたいに明るくて豪快で、雄大な踊りが出来るダンサーって、今は本当に貴重だと思うので、怪我に気をつけて、できるだけ長く、元気いっぱいに踊っていてほしいと思います。

 

ジャンヌはクリスティーナ・クレトワ。

テクニックはものすごくしっかりしていて、音にはまった溌剌とした踊りが気持ちよく、アクロバティックで難しい振付も見事にこなしていました。

明るい笑顔が素敵な美人ダンサーですが、どこか地味で、群衆の中に入るとたまに見失ってしまうことが…。

もう少し真ん中で踊るダンサーとしての存在感や迫力がほしいところですが、あまり華やか過ぎないところが"農民の娘"という役には合っていたと思います。

 

ジャンヌの兄・ジェロームはアレクサンドル・スモリャニノフ。

こちらも素朴な田舎のお兄ちゃん、という感じで、踊りはしっかりしていますが、あまり目立ちません。

クレトワと二人で踊る場面は、田舎の素朴な兄妹という雰囲気が出ていてとてもよかったです。

もう少し存在感があってくれると、物語の核のひとつである貴族の娘・アデリーヌとの恋、そして悲劇に見舞われるラストの印象が強まり、作品としての深みも増したのではないかと思うのですが…。

 

貴族の娘・アデリーヌのアナ・トゥラザシヴィリはとても優雅で上品で、役にぴったりでした。

長くほっそりとした手足を生かしたラインが美しく、少しエキゾチックな顔立ちも好きです。

彼女が古典作品を踊るのを見てみたいなぁと思いました。

 

そして、アデリーヌの父、コスタ・ド・ボールガール侯爵のイーゴリ・ツヴィルコ。

もともと予定されていたチュージンの体調不良による代役。

チュージンが見られなかったのは残念ですが、ツヴィルコの侯爵様、素晴らしかった!

お色気むんむん、とってもセクシーな肉食系の侯爵様で、ねっとりと重厚な踊りが素敵でした。

そういえば、ボリショイ・バレエ in シネマの「白鳥の湖」で彼の道化を観て、そのときも「ステキ♡」と思っていたのでした。

もっとがっつり踊るところが観たいので、次の来日公演でも来てくれたら、彼がメインを踊る回のチケットを取りたいと思います。

 

メインキャスト以外で印象に残ったのは、王族と革命軍、両方に娯楽を提供する女優と俳優を踊った、マルガリータ・シュライネルとダヴィッド・モッタ・ソアレスです。

クラシックな振付を優雅に美しく踊り、うっとりさせてくれました。

二人のこれからが楽しみです。

 

ボリショイ・バレエ、今回の来日公演を観たのはこの1回だけでしたが、とてもよい舞台で大満足。

「パリの炎」という少しマイナーな作品を専属オケとともにもってきて、さらにワシーリエフがフィリップを踊る、という企画を実現してくれた関係者のみなさまに感謝。

 

次の来日公演は2020年、東京オリンピックの年とのこと。

どんな公演になるのか、いまから楽しみです。

 

 

バレエ《パリの炎》(Blu-ray Disc)

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★Information

ボリショイ・バレエ 2017年日本公演

「パリの炎」(全2幕)

東京文化会館

6/15(木) 19時開演

作曲:ボリス・アサフィエフ

現振付:ワシリー・ワイノーネン

改訂振付:アレクセイ・ラトマンスキー