うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

「狂言の会」 at 国立能楽堂

流派を超えた他の家との共演で、それぞれの味わいの違いを比べることのできる企画。
人間国宝のお三方に、中堅・若手が絡む配役で。

今年で2年目になるそうです。


「二人袴」(和泉流)

シテ/親 野村万作

アド/舅 三宅右近

小アド/太郎冠者 野口隆行

小アド/聟 奥津健太郎


この作品を観るのは2回目。
初めて観たときは、まだまだ子どもの甘ったれな息子×過保護で心配性なお父さん、親子二人のお話という印象が強かったのですが、流派の違いもあるのか(初見は大蔵流でした)まったく違う味わいで、別の演目を観ているような感じでした。
お父さん&息子、お嫁さんの実家のお父さんと家来の太郎冠者、この4人の掛け合いがテンポよく進み、物語がより立体的に生き生きとして見えました。
お父さんを演じた野村万作さんのいぶし銀のような雰囲気が素敵。

「咲嘩」(和泉流)

シテ/太郎冠者 野村萬

アド/主 三宅近成

小アド/咲嘩


主人に「おじさんを迎えに行ってこい」と言われたのに、盗人を連れて帰ってしまい怒られて、飄々とすっとぼけた真似をしながらも結局体良く追い返してしまう太郎冠者を演じた、野村萬さんが素晴らしかったです!
ちょっと足りないように見せて、本当はとってもしたたかで、でも決して嫌味には見えなくて、「ああ、こういうちゃっかりした人、いるよね」という現実味がありました。

「首引」(大蔵流)

シテ/親鬼 山本東次郎

アド/鎮西八郎為朝 善竹隆平

アド/姫鬼 善竹隆司

立衆/眷属 山本泰太郎

立衆/眷属 山本凛太郎

立衆/眷属 水木武郎

立衆/眷属 若松隆

立衆/眷属 山本則重


気弱な姫鬼と力持ちのイケメン・鎮西八郎為朝の力比べ。
姫鬼を甘やかす過保護なパパ鬼(山本東次郎さん)が可愛かった!
鬼の面も怖いというより、ちょっとユーモラスな造形で、キレッキレな動きと人間とは違う雰囲気のある声色や台詞廻しが凄かったです。
鬼のくせに弱々な姫を勝たせるために、パパ鬼が仲間に加勢させて自分は審判かつ応援に徹するんですが、その掛け声が「ここで負けたら鬼として恥ずかしいぞ。がんばれ!負けるな!」という必死さなのに調子はどこかのんびりしていて、姫鬼筆頭に連なった鬼たちのわらわらした動きと相まって、なんともユーモラスで面白かったです。

 

国立能楽堂の楽しみの一つは、小さいながらも素敵な中庭。

今日はお天気もよく、かつての「みどりの日」の名にふさわしく、中庭の新緑が美しく輝いていました。

 

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★Information

狂言の会 家・世代を越えて

国立能楽堂

4/29(土) 13時開演