うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

吉祥寺駅周辺を歩く

今年のまち歩き初め。
東京スリバチ学会会長、皆川典久さんの案内で、吉祥寺駅周辺を歩きました。
この辺りは標高50メートル。
ここから東からは勾配差が激しくなりスリバチの宝庫、逆に西は武蔵野台地の平らな面になり、地形もあまり変化がないそうです。

 

集合後、まずは段差を下って井の頭恩賜公園内にある井の頭池へ。

 

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池の水を抜き、外来生物を駆除したり、溜まったゴミやヘドロを掻き出すかいぼり作業中のため、池の水がすっからかん。
テレビ東京の人気番組、「池の水を全部抜く!」のリアルな風景です。
こんな感じなんですね。

 

この井の頭池、実はもともと湧水が溜まってできた池なのです。
かいぼり作業は外来生物を駆除するためもありますが、もともとの湧水でできたきれいな池を取り戻したい!という目的もあるそうです。
そして、その水が湧く場所には弁財天が祀られています。

 

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よく見ると水たまりからコポコポと空気が出てきている箇所があり、水が湧き出していることがわかります。
かいぼり中ならではの光景。

 

お宮の前の灯篭には「日本橋」の文字。

 

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ここは神田川の源流にもなっており、江戸時代には命の水をもたらしてくれる井の頭弁財天に感謝し、詣でることが市民の間で流行したとのことで、この灯篭も日本橋の町衆が寄進したものです。


そして表参道にあたる道半ばの階段には「両国」の文字が。

 

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江戸市中からここまで、歩くとかなりの距離があると思うのですが、当時の人たちは日帰りで徒歩でやってきていたそうです。
昔の人は本当に健脚ですね。

 

昔の表参道を通り、玉川上水を見に行きました。
昔は「人喰い川」といわれ、水量も勢いもすごかったとのことですが、当時の面影はありません。 

 

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谷と玉川上水に注ぐ小さな川のあとを求めて、暗渠探し。
崖下を流れる暗渠。

 

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多摩川が削り残した丘の上に立つ、牟礼神明社

 

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武蔵野台地はほぼ平らなので、こうした丘があるのは珍しいそう。

 

そのあとは神田川まで歩き、神田川沿いを遡って再び井の頭恩賜公園まで。
池の水が抜かれているため、お休み中のスワンたちがいました。

 

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ここでまち歩きは終了。

今回もかなりなテンポでよく歩きました!
カジュアルな靴はコンバースジャックパーセルしか持っておらず、いつもまち歩きやウォーキングもこれですませていたのですが、さすがに年齢のためか、これでは3〜4時間続けて歩くと疲れるようになってきました。

 

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ウォーキング用に、いいスニーカーを買おうかなぁ…。

アルバニアの風習「ブルネシャ」

2日前のこと。
日本テレビ系列で放送されている「世界まる見えテレビ特捜部」で興味深い風習を知りました。
アルバニアに古くからある習慣「ブルネシャ」です。

 

アルバニアは超・男性優位社会で、女性は男性に口答えすることは許されず、子育てと家の中の仕事に従事し、財産を相続する権利もないそうです。
つまり、一家の中に男性がいないということは、財産を継ぎ、日々の糧を得る仕事をする人がいないことを意味し、家族が暮らしていけなくなってしまいます。
そのため、なんらかの理由で男性がいなくなってしまった家の中では、女性がもともとの性を捨て、男として生きることがあります。それが「ブルネシャ」という習慣です。

 

ブルネシャは男としての権利を手に入れる代わりに、一生、処女でとおさなければいけない、という決まりがあるそうです。
髪を短く切り、お酒や煙草を嗜み、畑仕事や放牧などの力仕事に従事する。
もともとの性別が女性である彼女たちにとって、大変辛く、また深い葛藤のあることだったと思いますが、VTRに登場したブルネシャたちはみな、家族のためにブルネシャになることを選んだと、自らの運命を誇りを持って受け入れているようでした。

 

この番組で興味を持ってネットで調べてみたところ、ブルネシャの習慣をテーマに作られた『処女の誓い』という映画がありました。
2016年のイタリア映画祭で公開されており、DVDなどにはなっていないようなので、鑑賞する機会はほとんどなさそうですが、もしもチャンスがあったら観てみたいと思います。

あかぎカフェでランチ

仕事で神楽坂へ。

ちょうどお昼時だったので、赤城神社境内にあるカフェ、その名も「あかぎカフェ」でランチをしました。

ここは以前お参りにきたときに知って、一度は行ってみたかったんですよね〜。

 

赤城神社の社殿などは、世界的に著名な建築家、隈研吾さんによる設計で、とってもモダンな雰囲気です。

 

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社殿に向かって右手側にカフェがあります。

ご利益のありそうなロケーション。

実際、神社は高台の縁にあって、見晴らしのよい気持ちいい場所です。

 

日替わりランチで、今日はツナとタレッジョチーズとミニトマトのキタッラ。

 

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もちもちしたパスタに独特な香りのあるチーズ、ツナ、甘いミニトマトがからまって、とても美味しかったです。

グリーンもりもりのミニサラダ、ドリンクが付いていました。

 

平日なのもあって、店内はゆったりのんびりした空気。

ごちそうさまでした。

初釜

ご縁があって、一昨年からときどき通わせていただいている茶の湯ワークショップ。

先生のお仕事の関係で、しばらくお休みだったのですが、久しぶりの開催。

初釜に参加してきました。

 

先生お手製の軽食。

 

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大福茶

のっぺい汁

はりはり漬け

黒豆

紅白なます

 

さらにお雑煮まで。

先生の郷里、新潟のお正月料理です。

 

お茶は初釜ということもあり、二服とも先生が点ててくださいました。

 

主菓子:花びら餅(一幸庵)

干菓子:越乃雪(大和屋)、雪つぶて(一幸庵)

お茶:初釜抹茶、大福茶(柳桜園)

 

ふわふわの食感の花びら餅。

大きさにびっくりしましたが、とろけるような舌触りでぺろっと入ってしまいました。

一幸庵さんの干菓子はなんと、大徳寺納豆入り!

うまみがぎゅっと凝縮された隠し味で、忘れられないひと口。

最後はリクエストに応えてくださり、お濃茶をみなさんで回し飲み。

 

年明けにきりりと身が引き締まる、ステキなひとときでした。

寿 初春大歌舞伎 昼の部 1/8

2か月にわたる高麗屋三代襲名披露公演。
NHKの生中継を観て、気分だけ味わえたのでいいか、と思っていましたが、数日前、3階席が戻っていたので「やっぱり行こう!」と観てきました。

 

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かっこいい特別仕様のポスター3種。

 

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襲名の祝い幕。

曙の空の色のぼかしが上品で素敵でした。

 

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「箱根霊験誓仇討」
勘九郎さん&七之助さんに、愛之助さんががっぷり組んだ義太夫狂言。仇討にすべてをかける夫婦の情愛、ふてぶてしくて骨の髄まで悪い敵、妻の愛ある犠牲で起こる奇跡など、歌舞伎あるある、な物語。
面白く観ましたが、義太夫狂言のわりにさっぱりしすぎてて少し物足りなく感じました。

 

七福神
配役がぴったり。とくに鴈治郎さんの大黒さまと、又五郎さんの恵比寿さま。すごくハマっていました。
七福神が勢ぞろいして宝船に乗り込む絵は、本当に華やかでおめでたく、見ただけでご利益がありそう。

 

「菅原伝授手習鑑」車引
新・幸四郎さんは声が変わったような…。一瞬、「誰!?」と思うほど、太くて力強い声。喉が弱い印象があったのでびっくりしました。反面、身体の使い方があんまり…なのが気になりました。荒事なのに、らしさがなかったんですよね。
勘九郎さんの梅王丸、すごくよかったです!! 拵えが似合うし、一つひとつの動き、型がとってもきれい。足がしっかり割れて、腰の位置が低く、すごくキツい体勢だと思うんですが、ぴたっと決まってちっとも揺らがないんです。古典をがっつり、こんな勘九郎さんが観たかった♡
七之助さんの桜丸は、美しかった。キリッとしすぎてる感じがするので、もう少し柔らかさがあるといいなぁと思いました。

 

「菅原伝授手習鑑」寺子屋
なんて豪華な寺子屋! 子や孫を引き取りにくるお百姓まで、贅沢な配役です。
なかでも猿之助さんの涎くりが大御馳走。幕開けの手習の場面から、東蔵さん演じるおじいちゃんと手をつないではけるところまで、本当に面白くて、客席は大よろこびでした。
新・白鸚さんの松王丸はいつもの感じで、繊細でリアルな芝居と聞かせる台詞回し。現代的な味が強いですが、梅玉さんの源蔵もさらさらしているので、芝居の温度感はぴったり。
雀右衛門さんの戸波の安定感! いつも変わらず、質の高い芝居。雀右衛門さんがいてくださるとほっとします。
魁春さんの千代はしっとりと丁寧で、この千代の嘆き、悲しみが一番印象的でした。
最後に登場する藤十郎さんの園生の前。出てくるだけで場が華やぎ、芝居がきゅっとしまる、さすがの存在感でした。

 

幕内のお弁当は、一度食べてみたかった海苔弁山登り。

歌舞伎座地下、木挽町広場のお弁当売り場、やぐらで買えました!

 

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包装を見るに、歌舞伎座の特別仕様の品のようです。

 

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高級海苔弁、美味しゅうございました。

 

★Information
壽 初春大歌舞伎
歌舞伎座
1/2(火)〜1/26(金)

昼の部
一、箱根霊験誓仇討
箱根山中施行の場
同 白滝の場

飯沼勝五郎:勘九郎
滝口上野/奴筆助:愛之助
女房初花:七之助
母早蕨:秀太郎

二、七福神
恵比寿:又五郎
弁財天:扇雀
寿老人:彌十郎
福禄寿:門之助
布袋:高麗蔵
毘沙門:芝翫
大黒天:鴈治郎

三、菅原伝授手習鑑
車引

松王丸:染五郎 改め幸四郎
梅王丸:勘九郎
桜丸:七之助
杉王丸:廣太郎
金棒引藤内:亀鶴
藤原時平:彌十郎

寺子屋

松王丸:幸四郎 改め白鸚
武部源蔵:梅玉
千代:魁春
戸波:雀右衛門
涎くり与太郎:猿之助
百姓吾作:東蔵
春藤玄蕃:左團次
園生の前:藤十郎

国立能楽堂 一月定例公演 能「難波」狂言「松楪」

2018年も、芝居初めは能楽から。

 

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能「難波」(金春流)
「難波津に咲くやこの花冬ごもり
今を春べと咲くやこの花
仁徳天皇と難波の梅の花にまつわる世阿弥作の曲。
百済国から日本にやってきた王仁と花のように美しい女神・木花開耶姫が太平の御代を言祝ぎます。
穏やかな海、さわやかな風、静かな大地…
昔から人々が願うことは変わりません。
ゆったりした流れに、眠気を誘われて、半分くらい夢の中でした…。

 

狂言「松楪」(大蔵流)
年貢として、楪を納めにきた丹波国のお百姓と、根付き松を納めにきた摂津国のお百姓。
「年貢にまつわる和歌を一首詠め」のムチャぶりに応え、褒美としてお酒を賜って、舞を舞う、おめでたい演目。
舞の最後に片膝をどんっと着いて座る、カッコいい終わり方でした。

 

★Information
国立能楽堂一月定例公演

 

能「難波」(金春流)
前シテ/老人 後シテ/王仁:金春安明
前ツレ/女 後ツレ/木花開耶姫:金春憲和
ワキ/廷臣:殿田謙吉
ワキツレ/随臣:大日方寛
ワキツレ/随臣:則久英志
アイ/梅の精:山本則秀
笛:一噌隆之
小鼓:曽和正博
大鼓:内田輝幸
太鼓:三島元太郎
後見:本田光洋 横山紳一
地謡:中村昌弘 山中一馬 本田芳樹 高橋忍 本田布由樹 辻井八郎 後藤和也 山井綱雄

 

狂言「松楪」(大蔵流)
シテ/摂津国の百姓:山本則孝
アド/丹波国の百姓:山本則重
アド/奏者:山本東次郎

シネマ歌舞伎「熊谷陣屋」

あけましておめでとうございます。
2018年のエンタメ初めはこちらから。

 

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前の歌舞伎座のさよなら公演、最後の月に演じられた芝居を映画化したものです。

 

吉右衛門さんの熊谷を筆頭に、藤十郎さんの相模、魁春さんの藤の局、梅玉さんの義経、そして富十郎さんの弥陀六! と超・豪華な配役。

8年前の舞台なんですが、義太夫も含めてこってり濃厚。
みんな情がしたたりおちそうなほど、じゅるじゅる。
空気感もテンポも、10年も経てばかなり変わるものですね。
これに比べると、今の時代物の芝居は随分あっさりとしています。

 

なんといってもやはり、吉右衛門さんの熊谷が素晴らしいです。
歌舞伎らしい美しい型、絵になる姿と、リアルなお芝居がうまく溶け合って、時代物のひとつの極み。
このころは芸に脂ののっている時期だったようで、全編にわたって気迫にみなぎる演技が、我が子を犠牲にした哀しみを押し隠して忠義を尽くそうとする熊谷の境遇と重なって、すごい迫力でした。
「十六年はひと昔。夢だ、夢だ。」と泣く姿が哀しくて哀しくて…。

 

「熊谷陣屋」は一昨年、芝翫さんが襲名公演でなさったときの型が新鮮で、印象に残っていたのですが、従来のこの型はお芝居らしいこってりさがあって、やはりよいですね。

 

弥陀六役で富十郎さんのお芝居が観られたのも、嬉しかったです。
からっと明るい富十郎さんの舞台姿、軽やかな踊りとともにとっても好きでした。

 

★Information
シネマ歌舞伎「熊谷陣屋」
2010年4月 歌舞伎座

熊谷直実:中村吉右衛門
白毫弥陀六:中村富十郎
藤の方:中村魁春
堤軍次:中村歌昇(現・又五郎)
源義経:中村梅玉
相模:坂田藤十郎