鎌倉の絶景が楽しめるとっておきの場所〜扇湖山荘
鎌倉山にある扇湖山荘に行ってきました。
総合薬「わかもと」で一財産を築いた長尾鉄彌が、昭和9年に飛騨高山の養蚕農家の建物を移築・改築して作った別荘です。
現在、鎌倉市が管理していて、春と秋、年に2回、それぞれ2日間だけ公開しており、今日4月2日(土)は春の一般公開日の2日目でした。
なぜこのお屋敷のことを知ったかというと、鎌倉のお花見スポットをネットで探していたところ、こちらのお屋敷の一般公開のことが紹介されている記事を見つけたのです。
なんでも、庭に見事な枝垂れ桜が植わっていて、さらに庭園に、海と山の絶景が楽しめるとか。
「これは行って見なければ!!」ということで、行って参りました。
贅を凝らした和洋折衷の館に、茶室がいくつもある広大な庭。
家の設計は、大江新太郎、森口三郎。
作庭は小川治兵衛(7代目)、岩城亘太郎。
門を入ってから出るまで、別世界!!の素敵なお屋敷でした。
というわけで、少しその様子をご紹介します。
お屋敷の敷地への入口、正門。
一般公開で見学する人もここから入ります。
入ったところすぐの斜面と斜面にかけられた橋の上から眺めたものです。
道なりに歩いて、茅葺門をくぐり、庭園の敷地へ。
広々としたところに何種類もの椿の木が植えられた椿園がありました。
そのうちの一本の木に咲いていた椿。
木にはそれぞれ品種が書いてある札がさがっていたのですが、控えてくるのを忘れてしまったので名前はわからず…。
可憐な印象の白い椿。
道なりに歩いていると、ところどころで出てくる「ヘビ注意!」の看板。
そして4つの茶室と庭のある伏見亭へ。
一番大きな四畳の茶室は屋根瓦に菊の御紋が入っており、伏見宮邸から移築されたもの、ともいわれる由緒ある建物だそうです。
こちらはその建物ではありませんが、なかなか味わいのある茶室。
茶室前の庭にも桜の木があり、木の間からちらっと海がのぞめます。
茶室をあとにして、広大な敷地を進むと竹林になっている地帯がありました。
ざわざわと風に揺れる竹の葉の音、互いにぶつかり合う音に、鶯などの小鳥のさえずりが合わさってとっても素敵でした。
さらに歩くと見えてきたのが、枝垂れ桜の木。
とても大きくて立派!!
ちょうど花の見頃を迎えていました。
桜を見ながら先に進むとお邸があります。
1階の南西に設けられた二間続きの和室。
金の間。
銀の間。
玄関から和室を見たところ。
もとになっている建物が民家だからか、豪華ですがどこかほっとするようなあたたかみを感じる内装でした。
居間。
主亡き後、一時期、料亭として使われたこともあり、また企業の研修所になっていたこともあるらしく、居間にはその所有者の移り変わりの歴史がうかがえる痕跡がいっぱい。
妙に生活感が滲み出ていて、ここだけ少し浮いていました。
そして、なんといっても素晴らしいのが、扇湖山荘の名前の由来になったテラスからの眺めです。
遠くに海が扇形にのぞめて、手前の山々は桜のピンクや芽吹き出した若葉のうぐいす色。
右には庭に植えられた大きくて立派な枝垂れ桜の木。
まさに絶景。
テラスの床面は陶片が敷き詰められた凝った作り。
テラスをぐるりとまわって下に降りると、松が中心の庭に出られます。
そして、ここでようやく建物の全体像も見ることができました。
鉄筋コンクリート造りの地下室に二階建ての元養蚕農家の建物が合体した、不思議な外観。
そして、建物の正面入口へ。
車寄せもある立派な玄関です。
もと来た正門に向かう途中に、敷地全体の地図がありました。
今回の一般公開で歩いたのは、真ん中の本館建物から左下の部分のみ。
右上にある茶室など、歩いていないところがまだまだたくさんあります。
すごい広大なお邸…。
昔の、今もか、「持てる者」の持ち具合って半端ないですね…。
現実を忘れてつかの間、夢の世界を味わうことのできる、素敵な空間でした。
ただ、建物も含めてこの広大なお屋敷を管理するのは大変らしく、まだまだ荒れ果ててしまっている部分を修理・整備中とのこと。
あちこちで働いている庭師さんを見かけました。
また、無料で見ることができるのですが、修理・保存のための募金をしていたので、ほんの少しではありますが応援の気持ちを込めて寄付してきました。
敷地内には紅葉の木もたくさん植わっていたので、秋も素敵そう。
またタイミングが合えば秋の一般公開にも行ってみたいと思います。
いわゆる観光スポットからは遠いせいか、はたまたそんなに知られていないのか、ほどよい賑わいだったので、一度足を運んでみてほしい本当に素敵な場所です。
★Information
扇湖山荘
一般公開の詳細は、決まり次第、鎌倉市の公式サイトのイベントページに掲載されるようです。