「並河靖之 七宝展 明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性」 at 東京都庭園美術館
明治時代、外貨を稼ぐ手段として奨励され、さまざまなジャンルで超絶技巧を駆使した珠玉の名品を生み出した日本の手工芸。
そのうち、有線七宝で頂点を極めた並河靖之、はじめての回顧展です。
金属線の色、肥瘦の使い分け、釉薬の透明感あふれる輝くような色、繊細なグラデーション。
配色やモチーフの組み合わせ、図案の妙。
一つひとつが宝石のように美しく、ため息しか出てきません。
会場になっている、旧朝香宮邸のアールヌーヴォー、アールデコで装飾されたインテリアともよく合っていて、とても素敵でした。
作品の美しさもさることながら、並河靖之の経歴にも驚きです。
武士の家に生まれ、幼くして養子に出され、宮様にお仕えすることに。
しかし、ときは幕末の動乱を経て、明治の御一新。
奉公では生活が立ちゆかなくなりそうだと思い、副業としてはじめたのが七宝。
まったくのゼロからはじめて約30年ほどで、「現在の技術でもこれを再現することは不可能」といわれるほどの作品を生み出すまで、技を極めた人だったとは…。
この時代の人たちのたくましさ、本当に尊敬します。
台数限定で無料で貸し出している単眼鏡をお借りしての鑑賞。
おかげで細部の作り込みまでじっくり見ることができて、とっても嬉しかったです。
美術館の方々、素敵なサービスをありがとうございます。
★Information
東京都港区白金台5-21-9
Tel 03-3443-0201
東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM|『並河靖之七宝展』2017年1月14日(土)–4月9日(日)
並河靖之 七宝展
明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性
1/14(土)〜4/9(日)