迎賓館赤坂離宮の見学
迎賓館赤坂離宮を見学してきました。
もとは東宮御所。戦後、紆余曲折を経て、現在迎賓館として使用されている建物です。
見学にあたって、いただいたパンフレット。
年に1回、10日間ほど、一般公開されており、見学を希望する場合は告知された期間内にウェブサイトかハガキで申し込みます。
一日あたりの見学人数に限りがあって、定員を超えると抽選になり、当選した人のみ参観できる仕組みです。
美しい正門から広々した空間の奥に、ネオ・バロック様式の建物がのぞめます。
見学者は西門から入って、参加証と身分証の確認、手荷物検査などの受付を済ませます。
門を入ってすぐのところに高速道路が走っていてびっくり。
見学は、建物の正面右の入口から中に入って、順路に従って公開されている箇所のみ可能です。
残念ながら、写真撮影不可。
そこで、ここからはパンフレットの画像を借りて建物内部を紹介します。
それぞれの部屋にボランティアのガイドの方がいて、解説を聞きながら見ることができます。
まず、彩鸞の間。
部屋の名前の由来になっているのは、部屋の左右の鏡や暖炉に飾られている「鸞(らん)」という想像上の鳥。
鳳凰の子とされ、もともと東宮御所として建てられた建物にはぴったりのシンボルとして選ばれたとか。
白い壁と金箔で装飾された石膏飾りが印象的な部屋です。
空中で煌めくのはバカラのシャンデリア。
この部屋に限らず、石膏飾りや天井画など、建物を飾る装飾物のほぼすべてがフランスで作られ、分解して日本に持ってきて組み立てられたとのことです。
続いて、花鳥の間。
天井に描かれた絵、欄間に飾られたゴブラン織り風の織物、腰壁を飾る30枚の楕円形の七宝焼、すべてが花と鳥をモチーフにしている、花鳥尽くしの部屋です。
主に公式晩餐会を催すときに大食堂として使われている部屋で、重厚な雰囲気。
使用されている木材は、国産のシオジやケヤキとのことで、なんとなく和の雰囲気が漂う空間でした。
中央階段・2階大ホール。
ゲストが到着して、中央正面玄関を入ってすぐの空間です。
床や壁、柱に大理石を贅沢に使った豪奢な造り。
大ホール正面の左右の壁面には、小磯良平の「絵画」と「音楽」をテーマにした油絵の大作が飾られていました。
そして、次の朝日の間に入る前、入り口の左右に鏡が貼られているのですが、中を覗き込むとずーっと鏡像が反射し続けてすごい奥行き。
奥にはまるで新緑のような鮮やかなグリーンの光が溢れて、それはそれは美しい眺めでした。
これはボランティアでガイドをしてくださっていた女性が教えてくれた情報で、愛ある解説のおかけで素敵な景色に出会え、感謝です。
第一サロン、朝日の間。
迎賓館の中で、もっとも格式の高い部屋。
国・公賓用のサロンとして使われているそう。
天井には、名前の由来になっている、「朝日を背にして女神が香車を走らせている姿」が描かれています。
メインの部屋なのに、室内を飾るそれぞれのパーツのテイストがバラバラで散漫な印象を受けました。
羽衣の間。
謡曲「羽衣」のストーリーを、フランス人画家が一生懸命、彼らなりに噛み砕いて描かれた天井画に飾られた部屋です。
もともと、舞踏会場として使うことを想定して作られた部屋で、正面中二階にはオーケストラ・ボックスが。
壁を飾る石膏の浮き彫りも、バイオリンや琵琶、鼓など、音楽にまつわるモチーフになっています。
さすが、国の威信をかけて、各国のゲストをおもてなしする空間だけに華麗なのですが、ちょこちょこ和テイストが顔を出していて、なんとも味のある空間装飾でした。
これで内部の見学は終わり。
続いて、建物の南側の噴水がある裏庭へ。
絵になる、素敵な空間です。
噴水の装飾をよく見ると、亀がいました。
賓客を迎える際に、中央玄関前に飾られるという盆栽。
樹齢百年近い、立派なものばかり。
五葉松。
石を抱き込んでいる珍しい盆栽。
建物の外をぐるっと回って、正面へ。
正面玄関の扉。とっても華やか!
建物正面の屋根の左右には、兜が輝いています。
「どこかで見たことがある…」と思っていたら、パリ・オペラ座と同じ様式とのこと。
なるほど、ですね。
見学を終えて…。
富国強兵、殖産興業など、ヨーロッパの国々に追いつけ追い越せだった明治や大正の時代の雰囲気が色濃く残っていて、日本の近現代の精神性が凝縮した建物のように感じられました。
今もここが迎賓館として外交上の公式イベントに使われているという事実が、大変興味深いです。
★Information
〒107-0051 東京都港区元赤坂2-1-1
Tel 03-3478-1111