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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

「フェードル」 at シアターコクーン 4/22マチネ

ジャン・ラシーヌギリシャ悲劇をもとに書いた、フランス戯曲の代表的な作品のひとつ。
大竹しのぶさんの演技を一度生で観てみたくて、何年ぶりかもわからない、超王道のストレートプレイを鑑賞しました。

 

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とっても観づらいコクーンシートでの観劇だったのも大いに関係があるかもしれませんが、役者さんたちの熱演の割にはあまり響くものがなかったなぁというのが正直なところです。


ギリシャ悲劇がもとになっていることもあって、逃れられない自らの運命(愛の女神ヴィーナスの呪い)として、義理の息子・イッポリットへの禁断の愛に狂っていくフェードルによって、周りの人たちも破滅の道に引きずり込まれる、というドロドロした話なのですが、出演者の演技の質やレベルにバラツキがあって、ときどき緊張が途切れてしまうんです。
こういうお話は緊張の糸が途切れないように、が〜っと一気にクライマックスまで持っていってくれないと辛いのですが…。


真ん中に椅子がひとつ置いてあるだけのシンプルな舞台で、大げさな身体の動きは許されず、お互いの言葉だけで物語を紡いでいく(それも膨大な独白ばかり)、王道の演出なので、きちんと台詞を話すことができる役者さんを揃えないといけないのですが、今はそれも難しくなってるんでしょうね。

 

物語の中心にいる王妃や王子、王よりも、フェードルの乳母エノーヌ役のキムラ緑子さんと、王子イッポリットの養育係テラメーヌ役の谷田光さん、脇を固めるお二人の演技がきらりと光っていて印象的でした。

木を見て森を見ず…?

仕事が最大の山場を越えて落ち着いてみれば、会社に対して思うことがふつふつと。

 

社会人生活も10数年。

転職を何回かしているので、30代半ばで未だに一番下っ端。

 

まぁ、それはそれとして、経験を重ねてきて思うのは、自分の職分をきっちり果たすことばっかりに一生懸命で、「全体として見たらどうか?」「大きな目で見た時、自分のやるべきことはなにか?」という本質を押さえたうえで仕事をしている人、できる人って、本当に少ないんだな、ということ。

 

自分のことばかり考えて仕事してる人が多いから、チームならではの強みが生かせず、いつまでもダメな組織のままで、無駄な仕事が減らなくて、残業してもしても終わらないっていう悪循環になっているように思えてならない…。

 

大変、大変、人が足りないばっかり言ってるし。

みんな、定時で帰りたい、休みたいと、本気で思っているのかな…?

足りないのは人ではなく、知恵なのではないかと思う今日この頃。

歌舞伎座が…

昨日の歌舞伎座の惨状が、いまだに衝撃的で信じられない…。

歌舞伎座は1階で観ようと思うとなかなかいいお値段なので、いつも観たいものだけ幕見するか、3階どまり。
だけど本当に久しぶりに「これはいい席で観たい」と思う演目&役者さんばかりだったので、ちょっと頑張って1階後方の2等席で観てみたら、もう…。

 

芝居は素晴らしかったけど、周りの観客のマナーが「え?」と思うぐらいひどくて閉口。

 

連れの人と話し出す、
遅れて入ってきて、遠慮なく「私の席、どこですか?」「真ん中?」「すみませんね」と普通の声でやりとり、
ビニール袋をがさがさがさがさ、
背もたれに背をつけず、前のめりで観劇、
電源を切らず、スマホをちらちら確認、
これ全部、休憩中じゃなくて、お芝居の途中のこと。
みなさん、私よりも年上の方ばかり。
「本当にお芝居を楽しみにここに来ているんですよね?」と言いたくなる人の多さよ。
怒りを通り越して、呆れるし、哀しくなった…。

 

子どもの頃、ごくたま〜に親に連れて行ってもらう歌舞伎座は、お芝居を観にきている大人たちのふるまいや会話、おしゃれな装い、周囲の人への気配りがとっても素敵で、「こんな大人になりたいなぁ…」「大人になったら、こんなふうに自分のお金で一等席で歌舞伎が観られるようになりたい!」と思う憧れの場所だったのになぁ…。

隣が子どもだと嫌がったり、眉をひそめたりすることなく、きちんと一人前扱いをしてくださって、昔の舞台や役者さんの思い出話を聞かせてもらったり、演目の詳しいいわれを教えてくださったり、「お若いのに渋い趣味だわね」と幕間にお菓子をいただいたり、たまたま席が隣になった方とのいい思い出がいっぱいあるのに。

 

あの粋な大人たちはどこへいってしまったの?
幕見や3階席で観てる時、下の階がこんな有様だなんて、思ったこともなかった。
たまたま運悪く、周りの人に恵まれない日に当たってしまったと信じたい。

 

あまりにも衝撃的で、自分から誘って付き合ってもらったにも関わらず、友人に愚痴ってしまった。

「並河靖之 七宝展 明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性」 at 東京都庭園美術館

明治時代、外貨を稼ぐ手段として奨励され、さまざまなジャンルで超絶技巧を駆使した珠玉の名品を生み出した日本の手工芸。
そのうち、有線七宝で頂点を極めた並河靖之、はじめての回顧展です。

 

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金属線の色、肥瘦の使い分け、釉薬の透明感あふれる輝くような色、繊細なグラデーション。
配色やモチーフの組み合わせ、図案の妙。
一つひとつが宝石のように美しく、ため息しか出てきません。

 

会場になっている、旧朝香宮邸のアールヌーヴォー、アールデコで装飾されたインテリアともよく合っていて、とても素敵でした。

作品の美しさもさることながら、並河靖之の経歴にも驚きです。
武士の家に生まれ、幼くして養子に出され、宮様にお仕えすることに。
しかし、ときは幕末の動乱を経て、明治の御一新。

奉公では生活が立ちゆかなくなりそうだと思い、副業としてはじめたのが七宝。
まったくのゼロからはじめて約30年ほどで、「現在の技術でもこれを再現することは不可能」といわれるほどの作品を生み出すまで、技を極めた人だったとは…。
この時代の人たちのたくましさ、本当に尊敬します。

台数限定で無料で貸し出している単眼鏡をお借りしての鑑賞。
おかげで細部の作り込みまでじっくり見ることができて、とっても嬉しかったです。
美術館の方々、素敵なサービスをありがとうございます。

 

★Information

東京都港区白金台5-21-9
Tel 03-3443-0201
東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM|『並河靖之七宝展』2017年1月14日(土)–4月9日(日)

 

並河靖之 七宝展

明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性

1/14(土)〜4/9(日)

国立劇場 2月文楽公演 第三部「冥途の飛脚」 2/4

まだまだ続く、国立劇場開場50周年記念。
2月文楽公演は「近松名作集」と銘打って、3部ともすべて近松門左衛門作品がかかっています。

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初日に第三部「冥途の飛脚」を観てきました。
「愛しい女を他の男に渡したくない」と、公金横領という罪を犯す飛脚問屋の忠兵衛と、欠点だらけのダメ男でも惚れぬいて深く愛する遊女・梅川の恋の顛末。

ここしばらく、時代物ばかり観ていて、久しぶりの世話物でした。
国立劇場開場50周年記念の公演は「一谷嫩軍記」「仮名手本忠臣蔵」と、素晴らしい舞台が続いていたので、今日も楽しみにしていたのですが、「あれれっ?」という感じ。
このお話、ふんばれず、自分の弱さに流されていく人間の心の有り様を描いた、救いようがないほど暗く重く深い話だと思うのですが、そういう人の心のどん底を覗き込んでいるような怖さや凄みが感じられませんでした…。

 

松香太夫が病気療養のため休演されたので、太夫&三味線の床コンビは、

淡路町の段:咲甫太夫&清友→呂勢太夫&清治の語り継ぎ

・封印切の段:千歳太夫&富助

・道行相合いかご:梅川・文字久太夫、忠兵衛・睦太夫、他のかけあい

でした。
太夫の語りからは、恋ゆえに道を踏み外してしまう忠兵衛の心の迷いや震えがいまいち見えませんでしたし、梅川の嘆きもこちらに刺さってこず、さらりと流れていった印象。

みなさん、「元気にはきはきと」という感じの語りでどの部分もくっきりしすぎていて、緩急や抑揚のメリハリがなく、一本調子に感じられます。

封印切の段を語った千歳太夫&富助さんのコンビは、昨年12月の「仮名手本忠臣蔵」9段目、山科閑居の段がとてもよかったので、楽しみにしていたのですが…。

世話物って、ある意味時代物よりも難しいのかもしれません。

 

対する人形は、玉男さんの忠兵衛に清十郎さんの梅川。

文句のない配役ですが、このお二人が恋人同士でがっつり組まれるのは珍しいような…。

どちらも無駄な動きは極力抑えた品のよい遣いぶりで、悲恋の恋人同士の雰囲気をたっぷり堪能させてくれました。

とくに清十郎さんの梅川は、忠兵衛を愛したばっかりに、彼のせいでどんどん追い詰められていく状況をぐっと堪えている様が美しく(あまりの動揺のためか、ずっと手がわなわな震えているのです)、印象的でした。

 

この作品はツメ人形や馬などが立ち働く様を見せて飛脚問屋の繁盛ぶりを表現したり、300両を懐に入れて家を出た忠兵衛が「一刻も早く武家にお金を届けなければ」「でも梅川に会いたい…」と逡巡しながら街を歩き、結局欲望に負けて遊郭に足を運んでしまう場面を、動く背景や羽織、野良犬の人形を登場させて描いたり、二人がお互いに気遣いあいながら逃げて行く様を、羽織や雪を使って美しく演出したりと、とにかく細部まで練られていて見応えがあります。

そんな見どころがたくさん詰まった作品だからこそ、舞台をひっぱる太夫にはもっと頑張ってほしい…。

そう強く思いました。

 

★Information

国立劇場 2月文楽公演

近松名作集

第三部「 冥途の飛脚」

2/4(土)〜2/20(月)

爪にもナチュラルメイクを

ここ数年、なんにもしなさすぎだった爪。
「爪がきちんとしてるとやっぱりキレイに見えるなぁ」と思って、評判のよいネイルを試してみました。

セブン・イレブンのParaDoの、ファンデーションネイルという商品。
お値段500円。

色はピンクとベージュ2色ありますが、少しでも可愛くしたいと思ってピンクにしてみました。

 

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においがキツイですが、塗りやすいし、すぐ乾くし、自然な色とツヤでもともとの爪が美しいように見せてくれて、まさに「爪にもすっぴん風ナチュラルメイク」のコピーそのまんま。
目のつけどころがいいなぁと思います。

これでお値段500円。
コンビニコスメ、すごいですね!!

夢がひとつ叶った!〜NODA・MAP第21回公演「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」を観劇 1/21ソワレ

芝居人のなかでも憧れの人の一人、野田秀樹さん。
「彼の作ったお芝居を、いつか生で観てみたいなぁ…」と思ってから早10数年…。

次回作は
「舞台は、江戸時代。
十八代目中村勘三郎さんへのオマージュ。」
と聞き、これだけはどうしても観てみたく。
一般発売日にダメもとでトライしてみたら、チケットが取れたんです。

 

ということで観てきました!

NODA・MAP 第21回公演。
「足跡姫 時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)」

 

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相変わらず、いろんなイメージ、物語の断片が飛び交う、言葉遊びに溢れた舞台。

宮沢りえ妻夫木聡古田新太佐藤隆太鈴木杏池谷のぶえ中村扇雀という豪華なメインキャスト。

テレビや映画でよく観る役者さんも、生で観るのははじめて。

それぞれに華も存在感もあって、役にぴったりで素晴らしかったです。

 

そして芝居そのものも、勘三郎さん、そして舞台芸術への愛が溢れてて、すっごくよかった…。

形に残らない、その瞬間にしか存在しない芸術。

そこに命をかけた人たちの物語。

 

ラストシーンを観てたら、実際に観たことのある勘三郎さんの舞台が次々浮かんできて、「ああ、もう勘三郎さんの舞台を生で観ることはできないんだなぁ」ということが突然胸に迫ってきて、気がついたらじわ〜と涙が出ていて視界がぼんやりしていました。

勘三郎さん、そして彼のよき相方、三津五郎さん、お二人が舞台の上で楽しそうにお芝居をしているのを観るのが大好きでした。

勘三郎さん、三津五郎さん、団十郎さん…。
江戸っ子らしい粋を感じさせてくれる大きな役者が立て続けにいなくなってしまったので、今の歌舞伎は少し淋しいです…。

 

★Information

東京芸術劇場 プレイハウス

NODA・MAP 第21回公演

作・演出 野田秀樹

「足跡姫 時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)」

1/18(水)〜3/12(日)

 

【主なキャスト】

三、四代目出雲阿国宮沢りえ

淋しがり屋サルワカ…妻夫木聡

死体/売れない幽霊小説家…古田新太

戯けもの…佐藤隆太

踊り子ヤワハダ…鈴木杏

万歳三唱太夫…池谷のぶえ

伊達の十役人…中村扇雀

腑分けもの…野田秀樹