2月の箱根旅行〜素敵な旅館、福住楼
2月に友人と出かけた箱根旅行。
泊まった宿は、塔ノ沢にある福住楼という老舗旅館。
といっても決して敷居は高くなく、程よく庶民的。
おばあちゃんの家に帰ってきたような懐かしい気分が味わえる、昔ながらのおもてなしをしてくれる宿です。
ここが本当に素晴らしい宿だったので、詳しく紹介させていただきたく。
素敵ポイントその1。
まず、この旅館の魅力はなんといっても建物!
今では考えられないくらい、どこもかしこも贅沢な手の込んだ造りなのです。
いくつかある部屋ごとに異なるデザインなのですが、今回私たちが泊まったのは、旅館の中でももっとも歴史のある部屋、明治時代に作られたという松二のお部屋。
「中二階」と呼ばれ、島崎藤村の『春』に登場する部屋のモデルだそうです。
欄間は色の異なる二種類の木を使って山並みが表現され、襖の絵もそれに対応するように山。
襖を全て閉めると、山並みが現れるという造り。
そして、日本旅館に欠かせない談笑スペース。
「これぞ、旅館!」という雰囲気たっぷり。
窓の外には紅葉の木、そして眼下には早川が流れています。
またお部屋の入口も素敵な造りで…。
梅の花をかたどった飾り障子にちょこんとついた庇のある靴脱ぎ場。
お部屋以外も素敵な造りなので、あちこち探検したくなる…。
建物のどこかに、旅館名の由来になった「福住」、福を象徴する蝙蝠(こうもり)が隠れているんです。
ぜひ、宿に泊まって、蝙蝠探し、そして建物の魅力をご自身で確かめてみてください。
素敵ポイントその2。
宿の楽しみはなんといってもごはん。
こちらの旅館は昔ながらのスタイルで、夕食、朝食ともにお部屋でいただけます。
仲居さんが部屋まで運んできてくれるんです!
それだけでも贅沢ですが、ごはんも美味しかった〜。
夕食は懐石料理仕立て。
向付にお刺身、焼き物、煮物、天ぷら…。
最後は金目鯛の煮付けと白いごはんに味噌汁、お漬物が出てきます。
梅や土筆、筍など、早春を意識した献立。
献立は月替わりだそうです。
朝食はこちら。
かまぼこ、干物、わさび漬けと小田原名物に加え、朝から湯豆腐が!
しらすおろしに出し巻き卵もあります。
土地の名物をぎゅっと盛り込んだ、とても贅沢な朝ごはん。
ごはんはどーんとお櫃に入って提供されるので、たくさんおかわりして朝からもりもり食べました。
こんな感じで、お宿にいながらにして、朝夕二食でかなりバリエーションに富んだ料理を堪能することができます。
素敵ポイントその3。
最後はお風呂。
箱根といえば、日本でも有数の温泉地ですから、やっぱりお風呂は気になりますよね。
こちらの宿の風呂は、丸風呂に岩風呂、そして貸し切りで使える家族風呂。
丸風呂と岩風呂は時間帯で、男湯、女湯が交互に入れ替わります。
お風呂の外が紅葉の木なので、明るい時間帯はお湯の表に映り込む紅葉を眺めながらの入浴が楽しめるそうです。
残念ながらお風呂に入ったのは、とっぷり暮れた夜だったため、景色は楽しめませんでしたが、雰囲気のある造りの丸風呂につかっているだけでいい気分。
浴槽の縁に丸く加工された金属板がはまっているんですが、これが絶妙の傾き加減でとろ〜っとお湯が外に流れるのです。
湯船に入るとき、ざば〜っと外にこぼれるお湯の音で現実を思い知らされ、さめざめとすることがありますが、こちらのお風呂は滑らかにお湯が外に出て行くので、変な水音が響かずとっても静か。
お湯そのものも無色透明、匂いもなく、肌がしっとりと潤うやさしいお湯でした。
本当に中にいるだけでとても心が落ち着く宿で、久しぶりにのんびり静かな、そして豊かな時間を味わいました。
日常のあれこれを忘れて、ゆったりと過ごしたいとき、本当におすすめの宿です。
こちら、旅館の名刺。
建物の中に隠れている蝙蝠があしらわれています。
宿泊前に読みました。
登場人物のモデルになった人々、大正初期の芸術畑で食べていくことを目指す若者たちの青春のもやもやを描いた私小説。
ぶっちゃけ、面白くないです。
藤村その人と周辺の人に興味があり、かつ研究目線で読みたいという人だけ、楽しめるのではないかと。
- 作者: 島崎藤村
- 出版社/メーカー: 新潮社
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★Information
福住楼
箱根湯本駅からバスに乗って、塔の沢のバス停を降りてすぐ。
早川にかかる千歳橋のたもとです。