Cinema:世界の果ての通学路
週末、映画を観てきました。
世界の果ての通学路(2012/フランス)
監督:パスカル・プリッソン
公式サイト:http://www.sekai-tsugakuro.com/
「学校に通える幸せをかみしめてほしい」
というメッセージではじまる作品は、
長い時間をかけて、命がけの危険な道を辿って、
学校に通う子どもたちの姿を追うドキュメンタリー映画。
ケニアの少年は妹と一緒にゾウやキリンがいるサバンナを、
モロッコの少女は友達二人と険しい山道を、
アルゼンチンの少年は妹と二人、なにもない平原を馬に乗って、
インドの足が不自由な少年は舗装されていない道を、
弟ふたりがひっぱる車椅子で、
危険な道を長い時間をかけて学校へ通う。
長い通学路の途中には、さまざまな壁が待ち受けている。
たとえば、ゾウに気付かれて追いかけられる、
友達が足をくじいて歩けなくなってしまう、
車椅子のタイヤがパンクする…。
でも彼らはくじけることなく、
ひとつひとつを乗り越えて、
ひたむきに学校をめざす。
勉強して、知識を身に付けて、自分の未来を切り開くために。
監督はナショナル・ジオグラフィックで仕事をしていた人らしく、
とてもフォトジェニックで美しい映像です。
鳥の鳴き声や虫の羽音、木の葉のざわめき、風の音など、
自然の音がたくさん入っていて、
それぞれの子どもたちの住んでいる環境が伝わってきます。
なによりも、子どもを見つめる視線がやさしくてあたたかい。
監督が一人ひとりの子に愛情を持っているんでしょうね。
学校を目指して進んでいるときの、きりっとした大人っぽい表情。
危険な道のその果てに、
学校についたときの子どもたちのほっとした嬉しそうな顔。
友達と楽しそうにじゃれあい、おしゃべりする姿。
授業中の真剣なまなざし、
新しいことを学ぶときの嬉しさに満ちた教室の雰囲気。
映画に出てくる子一人ひとりが見せる表情や仕草、話す言葉がチャーミングで、
好きにならずにはいられない、応援せずにはいられないんです。
また、子どもたちを支えるご家族が素晴らしい!
おそらく、映画に出演している子どもたちが住んでいる地域では、
学校に通わせてもらえる子なんてほんのひと握りでしょう。
この映画に出てくるご家族は、
長い危険な道のりを行く子どもの身を案じながらも、
神の加護を祈りつつ、子どもを信じて送り出すんです。
学ぶこと、教育をうけることが、
子どもの未来を拓くとわかっているからこそですよね。
「学校へ通う」、それだけのことが、こんなにドラマティックだなんて。
最後に、子ども一人ひとりが、
迷うことなく、まっすぐな瞳で、自分の夢を語ります。
それがまた素晴らしくて。
自分のことだけではなく、家族のこと、
自分の故郷のこと、社会のこと、
一人よがりでない、広がりのある夢なんですよね。
こんなにきらきらした彼らが大人になるころには、
世界はもっとよくなっているに違いない。
そんな明るい未来を感じることのできる、
まばゆい希望の光にあふれた映画でした。