うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

平安の秘仏 滋賀 櫟野寺の大観音とみほとけたち at 東京国立博物館

平安時代に作られた貴重な仏さまたちに会いに上野へ。

 

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普段は厨子の中に大切におさめられている秘仏、5メートルを超える十一面観音さまを中心に、これまた大きな薬師如来など、お寺に伝わる平安時代の仏さまがぐるりと取り囲むようにひと部屋にぎゅっと集めて展示されていました。

十一面観音さまは「ようこそ、はるばる東京まで」と言いたくなるくらい大きくて、どっしりとしていて美しく、見つめていると包まれるような安心感がありました。

ほかの仏さまはみな、当時の装飾は剥がれたり、褪せたりしていまって、ほぼ木地の状態。
割れたり、欠けたり、それぞれの仏さまがくぐり抜けてきた時間の長さをしのばせる跡がたくさん残り、それが余計に愛おしさを増していました。
本来、全きものを表現した仏さまですが、木を素材にしているので、どうしても年月を経ると少しずつ失われていってしまいます。
「石をメインの素材にして成り立っている文化圏とは異なる美意識、価値観が生まれるのも必然だよなぁ」などということを考えました。

 

20体ある仏さまのうち、観音菩薩地蔵菩薩、吉祥天は何体かあって、このころから篤い信仰を集めていたんですね。

しゅっとした細長いつり目に厚い鼻、ぽってりした唇の仏さまもいれば、全体的に細面で穏やかな表情の仏さまもいて、よく見るとそれぞれ顔立ちが違います。

また体型も、小顔ですらりとした長身の仏さま、全体的に肉付きが良くとってもセクシーな仏さまなど、さまざまに。

これだけたくさんの仏さまが一堂に会していると、それぞれの仏さまの個性がわかって大変興味深かったです。

 

たくさんの仏さまのなかで一番心惹かれたのは、一体だけあった毘沙門天

毘沙門天というと、通常、仏法を守る守護神として恐ろしい表現をしていることが多いのですが、こちらの毘沙門天はどこか素朴がにじむ表情にずんぐりむっくりな体型の親しみやすいお姿でした。

 

★Information

東京国立博物館

〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9

 

特別展 平安の秘仏

滋賀 櫟野寺の大観音とみほとけたち

9/13(火)〜12/11(日)