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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

71回目の終戦記念日

今日は71回目の終戦記念日

いつも8月には戦争にまつわる本を1冊、手に取ることにしています。

 今年選んだのは『百年文庫86 灼』(2011年、ポプラ社)。

 

 

灼 (百年文庫)

灼 (百年文庫)

 

 

ヴィーヒェルト 鈴木仁子訳「母」
キプリング 橋下槇矩訳「メアリ・ポストゲイト」
原民喜「夏の花」
ドイツ、イギリス、日本とそれぞれの国の作家による「戦争」にまつわる短編小説3篇が収録されています。

 

一番読みたかったのは、原民喜の「夏の花」。

原民喜広島市出身の作家で、東京から故郷に疎開中、被爆して一命をとりとめました。

彼による原子爆弾投下直後の広島の記録です。

中学だったか、高校だったか、国語の教科書に載っていて、もう一度読んでみたいと手に取ったのですが、あらためて読むとその独特の透明な視点と淡々とした筆致から、筆者の言葉にならない感情がにじみ出ているようです。

 

「ギラギラノ破片ヤ
灰白色ノ燃エガラガ
ヒロビロトシタ パノラマノヨウニ
アカクヤケタダレタ ニンゲンノ死体ノキミョウナリズム
スベテアッタコトカ アリエタコトナノカ
パット剝ギトッテシマッタ アトノセカイ」
(原民喜『夏の花』)

 

彼は戦後、原爆体験と原爆投下の1年前に亡くなった妻の死を題材にした作品を生み出し、この世で自分のやるべきことはやりつくしたと思ったのか、1951年3月13日に吉祥寺駅付近の電車の線路に寝そべる、という方法で自殺しています。

「僕はいま誰とも、さりげなく別れてゆきたいのです。妻と死別れてから後の僕の作品は、その殆どすべてが、それぞれに遺書だったような気がします。」

 

今日、外を歩いていたときに、少し秋の気配が混じった青空を、切り裂くようなあの独特の轟音を立てて2機の戦闘機が飛んでいくのを見ました。

戦争や暴力に怯えることのない日々を過ごせていることに感謝するとともに、この平和がこれからも続くことを切に願います。