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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

Cinema:モード家の一夜

ロメールと女たち」の3本めは「モード家の一夜」(1968年、フランス)を。
今回の特集の中で唯一のモノクロ作品です。

カトリック信者で技術者の"私"の前に、同じタイミングで現れた2つの恋のチャンス。
サバサバしたなかに脆さも感じさせる大人の女性モードと、若いながらも落ち着いていてしっとりしたフランソワーズ。
どこで、どんな選択をするのか。
たった1日で、その後の人生の行く先ががらりと変わってしまうことってありますよね。
そんな人生の中でも大切な、短くも濃い時間を描いています。

ラストシーンですべてがつながって、ゾクッとする見事なストーリー展開で、脚本が素晴らしい。
そして登場人物それぞれに、過去の傷をひっそりと抱えながら未来に向かって歩んでいく、ちょっぴり苦い物語が、美しいモノクロの映像が作り出す雰囲気にぴったりで本当に素敵。
ほろ苦さもひっくるめて、人生の味わい深さを教えてくれる映画です。

今回、この「ロメールと女たち」の特集上映のおかけで初めて観ることができたロメール作品でしたが、どれを観ても、決してきれいごとではなく、生きているのは素敵なことだと、純粋に思わせてくれるいい映画でした。
「別になくてもいいけれど、知っているとほんの少し人生が豊かになるもの。」
これって、映画や小説など、フィクションの世界のひとつの理想的なあり方じゃないかと思っているのですが、ロメール監督の映画がまさにこれ。
今回の特集はこれで見納めにしようと思っていますが、機会を見つけて、少しずつ他の作品も見ていこうと思います。


★Information
1968年、フランス