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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

Musee:没後100年 宮川香山 at サントリー美術館

アート

超絶技巧を駆使した陶芸で知られる宮川香山の没後100年を記念した展覧会。

 
展示品のほぼ全てが、田邊哲人さんという、香山の研究家のコレクション。
香山が生み出した、陶器の表面をリアルな浮彫や造形物で飾る「高浮彫(たかうきぼり)」他、超絶技巧を駆使して作られた「眞葛焼」は、陶芸と聞いたときにイメージしがちな、わびさびの枯れた味わいを楽しむ焼き物とは一線を画す、デコラティブな陶器たち。
質・量ともにものすごくて、ただただ圧巻でした。
 
展覧会は3部構成で、ほぼ時系列に沿って作品が紹介されていきます。
全作品に解説がつくというのは、これまで経験したことがなく、主催者や関係者の方のこの展覧会にかける熱意をひしひしと感じました。
構成は以下のとおり。
 
第一章 京都、虫明そして横浜へ
第二章 高浮彫の世界
第三章 華麗な釉下彩・釉彩の展開
 
「これが陶器でできてるなんて!」という驚きの作品の連続。
前面にせり出すように盛られたモチーフの質感や立体感のリアルさ、細部までこだわった造形の見事さに目がいきがちですが、土台の草花や文様などの絵付けや釉薬の色合いも素晴らしかったです。
 
冒頭からいきなり、蟹と猫をそれぞれモチーフにした代表作が飾られ、度肝を抜かれました。
 
高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指(明治時代前期)
 
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日光東照宮の欄干にいる眠猫と白牡丹から採られた図象ですが、香山の猫はちょうど眠りから覚めたところ。
肉球や爪、歯や舌、耳の中の血管まで超リアル!
 
高取釉高浮彫蟹花瓶(大正5年)
 
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折り重なる蟹二匹。
焼き縮みなどもあるのに変な縮尺になったりすることもなく、甲羅のツヤっとしたところまで焼き物で見事に表現されています。
 
写真撮影OKな作品が一部あったので、そちらからも一作品ご紹介。
 
高浮彫蛙武者合戦花瓶(明治時代前期)
 
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ほかの作品同様にものすごい技術が駆使されていますが、ユーモア溢れるモチーフが楽しい一品。
 
このほか、
・岩場に佇む鷹
・冬ごもりする熊の親子
・枯れた蓮と蛙
・骸骨たちの合戦
・命綱をつけて岩場を降り、きのこ狩りにいそしむ人たち
などなど、さまざまなモチーフが焼き物で見事に表現されていました。
動物や植物だけでなく、粉雪が降り積もった地面や水の流れなどまで作り込まれていて、その技の巧みさに驚きを禁じえません。
 
上で紹介したようなデコラティブな作品ばかりでなく、焼き物の地や釉薬の色を生かした作品や、絵付けをメインにしたものなど、いろいろなタイプの作品があります。
特に第三章で展示されている作品たちは、絵付けや色味などにこだわって追求していたときの作品たちで、ほんわりとした優しい色味や繊細な表現が素敵でした。
 
色嵌釉紫陽花図花瓶(明治時代後期〜大正時代初期)
 
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高浮彫の作品では、「これ、掃除や保管が大変そう…」とか「家にこんなのあったら迫力があって怖すぎる」という感想がぽろぽろと聞こえてきていたのですが、第三章では「こんなの、家に欲しいね」という声がちらほら。
すっごくうなずける感想です。
 
最初から最後まで、「焼き物でどこまで表現できるのか?」と挑戦し続ける、職人の創造力の凄まじさを見せつけられた展覧会。
技を駆使して細かいところまでこだわりぬいた、職人魂の塊のような作品たちには、現代のフィギュアの造形師の人たちの仕事ぶりに通じるものを感じました。
「え、そこまでやっちゃいますか?」と言いたくなるほどに、細部まで突き詰めて徹底的に作り込むのって、とても日本人らしさが詰まったものづくりであり、仕事ぶりなんだと思います。
 
 
美術雑誌でも特集が組まれていました。
 

 

 

 

美術手帖 2016年3月号

美術手帖 2016年3月号

 

 

 

 

 
★Information
東京都港区赤坂9-4-7
東京ミッドタウン ガレリア3階
 
没後100年 宮川香山
2/24(水)〜4/17(日)