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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

Cinema:ロパートキナ 孤高の白鳥

大好きな、大好きなバレリーナ、ウリヤーナ・ロパートキナのドキュメンタリー映画。

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ロパートキナは1973年、ウクライナのケルチ生まれのバレリーナ。
ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーで学び、卒業後、ボリショイ・バレエと並びロシアが世界に誇るバレエ団、マリインスキー・バレエに入団。
4年後、プリンシパルに昇格し、その後、ずっと第一線で踊り続けています。
古典的でドラマティックな役が得意で、とくに彼女の踊る"白鳥"は現役のバレリーナの中では最高峰といわれています。

優雅で、繊細で、このうえなく雄弁な踊り。
手の先からつま先まで、本当にしなやかでなめらかで、音にぴったりと合った動きの一つひとつが溢れ出る想いを伝えてきます。
彼女の踊りは一瞬が永遠に感じられ、私は見ていると激しく心が揺さぶられ、なぜかいつも泣きたくなります。

そんな彼女の素晴らしい踊りが、たっぷり堪能できるドキュメンタリーでした。
映画の中で見ることのできる作品はこちら。
●愛の伝説
●マルグリットとアルマン
●病めるバラ
●ロシアの踊り
●イン・ザ・ナイト
●ステイン・アライブ
●ダイヤモンド
●瀕死の白鳥

どれも素晴らしいのですが、なかでもほぼ全部映像を流してくれる「瀕死の白鳥」は、バレリーナ、ロパートキナの魅力がぎゅっと詰め込まれていて素晴らしいです!!

こうした舞台の映像に加えて、ロパートキナが久しぶりに母校ワガノワ・バレエ・アカデミーを訪問し、当時を振り返って語る思い出話。
長女マーシャちゃんにとろけるような視線を向ける、お母さんとしての姿。
稽古場で舞台でコンビを組むパートナーとともにたんたんとレッスンに打ち込む様子。
衣装の仮合わせで、いろいろ細かい調整をお願いをしているところ。
など、舞台裏と素顔が垣間見える貴重な映像ばかり。
本当に、ファンにとっては嬉しいドキュメンタリーです。

とくに印象的だったのは、「愛の伝説」の舞台、および稽古の場面と、この作品への思いについてロパートキナが語る場面。
「愛の伝説」への彼女の思いは相当なものがあるようで、そもそもこのドキュメンタリー自体、なかなかロシア国外で上演されることのない「愛の伝説」を知ってほしいと、必ず舞台映像と作品についての彼女へのインタビューを入れる、という条件のもと、製作されたのだとか。

「愛の伝説」で彼女は、愛する妹を救うために美貌を捨てる女王バヌーを踊っています。
以下、ロパートキナの言葉。
メモをとりながら観ていたわけではないため、正しくないところもあるかも…なので、そこは割り引いてお読みください。
「最近、ようやくこの作品の核心的な部分が理解できるようになってきたの。愛って、誰かを自分だけのものにしたいと望み、その人を所有すること? バヌーは愛する妹のために大事なものを捧げるけれど、そう決意した、そのときに感じる気持ちが愛かしら…」

慎重に言葉を選びながら話すロパートキナは、とても可愛らしくてまるで少女のよう。
舞台での圧倒されるようなオーラはどこへ?という変わりぶり。
素顔の彼女は話し方ひとつ見ても、繊細でピュアな女性なのだということがよく伝わってきます。

そして深い言葉だな、と思います。
この言葉は彼女のバレエに対する姿勢そのもの、といえると思います。
静かに淡々と、自分のすべてを捧げてバレエと、踊りと向き合うロパートキナ
通常、ダンサーのドキュメンタリーは、ライバルとの競争、怪我など、辛くて苦しい部分に焦点が当たりがちですが、この映画はロパートキナが真摯にバレエと向き合う、静かな闘いの日々です。
ストイックなその姿はまるで修行僧のようでもあって、聖なる美しいものを見て心洗われる感覚になりました。


映画では紹介されていませんでしたが、ロパートキナの当たり役はなんといってもクラシックバレエの代名詞「白鳥の湖」のオデットとオディール。
世界最高峰といわれるその白鳥が見られる全幕DVDが出ています。
クラシックバレエに興味があるけど、何を観たらいいの?」という人に、一番オススメしたい一枚です。

チャイコフスキー:バレエ《白鳥の湖》 [DVD]

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★Information
ロパートキナ 孤高の白鳥
監督:マレーネ・イヨネスコ
(2014年、フランス)