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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

「カマキン」最後の展覧会

来年1月末で閉館してしまう、神奈川県立近代美術館 鎌倉館、通称"カマキン"に行ってきました。
「カマキン」で現在開催中の最後の展覧会は、「鎌倉からはじまった。1951-2016  PART3:1951-1965 "鎌倉近代美術館"誕生」。

鶴岡八幡宮の境内、平家池に面して美術館があるのは前から知っていましたが、入館したのは今回が初めて。そして、おそらく最後。

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閉館までのカウントダウンがはじまっていました。

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まずは美術館の裏の主役ともいえる建物そのものから。

階段の手すりその1。
絶妙なカーブ具合です。

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学芸員の人が使っていたという部屋への階段。
これまで非公開だったそうなのですが、係員の方の指示に従って見学可能でした。

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階段の手すりその2。
こちらもまた絶妙なカーブ。

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中庭。
開放感のある作り。

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置物はイサム・ノグチによるコケシ。
壁に使われている温かみのある大谷石がいいポイントになっています。

平家池に面した空間。

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喫茶室の壁画。
昭和のムードが全開で、懐かしい雰囲気。

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もう一つの建物、新館は耐震構造に問題があるとのことで、立ち入り禁止になっていました。

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ル・コルビュジェに学んだという板倉準三の設計による建物、閉館前に見ることができてよかった…。
やはり建物は中に入って、その空間を体験してみないとそのよさがわからないですから。
今日の雨も雰囲気があってよかったですが、晴れの日はまた素敵なんでしょうね。

展示されていた作品では、川端康成が寄贈したという古賀春江の2つの作品「窓外の化粧」と「サーカスの景」、靉光の「鷲と鵞鳥」が印象に残りました。

古賀春江「窓外の化粧」(1930年)

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興味深かったのは、どの作品を見ても、絵画ならルノワールセザンヌゴッホ、フォーブ派と呼ばれていた頃のマティスなど、彫刻はロダンと、ヨーロッパ近代のアーティストたちの影響を感じること。
というか、その模倣にしか見えない作品が多いのです。
ほとんどの画家がヨーロッパ、とくにフランスに行って学んで来ているんですよね…。

そんな"◯◯っぽい"絵が溢れる美術館の建物は、大いにモダン建築の巨匠コルビュジェを思わせる空間。
そして、この神奈川県立近代美術館の記念すべき第一回めの展示は「セザンヌルノワール展」。
神奈川県立近代美術館は、1951年、太平洋戦争が終わってから6年後に開館しています。
(※展示品の中には開館当時、板倉準三が美術館のためにデザインした館長室の机、椅子、喫茶室のテーブルなどがありましたが、「最低限の材料でどう作るか?」という工夫が伺えて、戦後の日本がいかに物不足だったのかがよくわかるほど。)

日本の近代は西洋から学び、吸収し、みずからのものとしていくところからはじまりますが、日本の戦後もやはり同じように、西洋に学ぶところからはじまっていることに、なんともいえない複雑な気持ちになりました。
そして、今も変わらないその精神。
なにかあるとすぐ、ほかの国のうまくいっているケースを真似ようとする。
この国はいつまで「模倣」を続けるんでしょうか?
そのこと自体は悪いことではないけれど、模倣ばかりでは限界があります。
ほかとの比較ではなく、自分の国そのものをじっくり見つめて考えないと、この先一歩も進めない時期になっていると思うのですが。

★Information
神奈川県鎌倉雪ノ下2-1-53
Tel  0467-22-5000

鎌倉からはじまった。1951-2016 PART3:1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生
2015年10/17(土)〜2016年1/31(日)