うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

Theatre:「妹背山婦女庭訓」三笠山御殿の段 at 歌舞伎座

歌舞伎座で幕見。
十二月大歌舞伎。
玉三郎さんのお三輪目当てで、夜の部「妹背山婦女庭訓」三笠山御殿の段を観ました。

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【配役】
杉酒屋娘お三輪:坂東玉三郎
入鹿妹橘姫:中村児太郎
烏帽子折求馬 実は藤原淡海:尾上松也
漁師鱶七 実は金輪五郎岩国:尾上松緑
宮越玄蕃:坂東亀三郎
荒巻弥藤次:坂東亀寿
豆腐買おむら:市川中車

「妹背山婦女庭訓」は、9月に国立劇場文楽公演で観たばかり。
文楽は後半を通しでの上演が多いですが、今月の歌舞伎座のように、歌舞伎でこの演目を通し上演するのは珍しいそうです。
杉酒屋と道行恋苧環はお三輪を七之助さんが演じ、この三笠山御殿のみ、玉三郎さんがお三輪を演じるという変則的な配役。

玉三郎さんのお三輪、若手の多いなか、流石に別格でした。
出から恋に夢中の可憐な娘で、求馬の後ひたすら追いかけているのがとてもいじらしい。
お三輪って、「恋は盲目」という言葉を体現しているキャラですね。
御殿に迷い込んで、いかつい女中たちにいじめられる場面、延々続くので嫌になってしまったのですが、ここから嫉妬を募らせて修羅になるところ、その後鱶七に刺されて、「好きな人のために死ねるなら本望。でも、もう一度だけお顔が見たい…」との言葉を残して亡くなる場面まで、圧巻でした。

対する橘姫の児太郎さん、見た目に恵まれているとは言いがたいのですが、おっとりと品良く、とても美しいお姫さま。
すごく良かったので、ほかの役を演じているのを観てみたいな〜と思いました。

この二人から恋焦がれられる求馬は松也さん。
そこまで出番は多くないものの、黒縮緬の着物が似合って美しかったです。

そして、舞台の目玉ともいえる中車さんの豆腐買おむら。
歌舞伎の中車さんを見るのは初めて。
まさかの?女役ですが、ちょっと滑稽な役どころでぴったり。
雰囲気もあって、客席に大ウケでした。

そのほか、豪快な男をさわやかに演じていた松緑さん、敵役、蘇我入鹿をどっしりとした迫力で演じ、舞台に重厚感を与えてきりりと引き締めていた歌六さん、ちょい役なのがもったいないほど上手い坂東亀三郎・亀寿兄弟の宮越玄蕃と荒巻弥藤次、いじわるな女官たちと、若手中心のさわやかさ溢れる舞台でした。

で、玉三郎さんなのですが、流石の舞台でしたが10月に「壇浦兜軍記」で観た時には気にならなかった老いを感じてショック…。
お年を考えれば当たり前なのですが…。
あと、お疲れが滲み出ていたようにも感じられて、ちょっと心配になりました。

★Information
東京都中央区銀座4-12-15
Tel 03-3545-6800

十二月大歌舞伎
夜の部 通し狂言 妹背山婦女庭訓
三笠山御殿
12/2(水)〜12/26(土)