フランスの旅、6日目①〜ゴシック建築の傑作を見にシャルトルへ
パリの友人宅へまたやっかいになり、明けて翌日。
この日から二日間、パリに滞在します。
が、またもパリを離れて、電車で一時間ほどのところにある街・シャルトルへ。
パリ・モンパルナス駅again。
レンヌと同じく、シャルトルへ向かう電車もここから出発します。
電車は一時間に一本程度あります。
電車に揺られること、約一時間。
10時頃パリを出て、11時ちょっと過ぎにシャルトル駅に着きました。
駅のすぐ隣にあるレンタサイクルのお店で町の地図をもらって、さっそく大聖堂へ向かって歩きます。
駅から歩くこと10分ほどすると、大聖堂の二つある尖塔が見えてきました。
遠くから見ても、この高さ。
とても大きくて立派な大聖堂であることがわかります。
さらに歩くこと5分。
大聖堂の前の広場に着きました。
手前の人と比べて、この大きさ。
本当に「天まで届かん!」という勢いで空高く聳えています。
尖塔の形が右と左で違いますが、右がゴシック様式、左がロマネスク様式だそうです。
正面真ん中入口のファサード。
正面右。
聖母子と両脇に控える二人の天使。
正面左。
入口からしてみっしりと聖書の世界観が彫刻で表現されており圧巻ですが、シャルトル大聖堂の魅力はなんといっても窓という窓を埋め尽くすステンドグラスです。
正面真ん中の入口から中に入って、振り向いたところにあるバラ窓。
シャルトルのステンドグラスは、独特の青色が特徴で、その青はシャルトルブルーと呼ばれています。
聖堂内のステンドグラスのほとんどは13世紀に作られたもの。
度重なる戦争による破壊を免れ、奇跡的に残ったのです。
一部が修復工事中でしたが、高く高く作られた窓という窓にはめられた色とりどりのガラスから光が差し込み、なんと表現したらいいのか困るほどの美しさ。
まさに「神は光」という聖書の教えそのものの世界です。
ステンドグラスはひとつとして同じくデザインのものはなく、一つひとつにさまざまな物語が閉じ込められています。
このスペースには、聖母マリアが身につけていた衣が入ったガラスケースが置かれています。
こちらは正面左の入口と同じ、十二星座をモチーフにしたステンドグラス。
右側の窓に、ひときわ美しく目を引く聖母子のステンドグラスがあります。
「美しき絵ガラスの聖母」という名前で呼ばれています。
聖母マリアがまとっている衣の淡い青は、現代ではもう出せない色だそう。
シャルトルのステンドグラスの数あるブルーのなかでも特に美しい青色です。
シャルトル大聖堂は1194年の大火事で一部を残して消失し、その後すぐに再建されているのですが、この聖母子のステンドグラスは大火事の被害にあわなかった数少ない貴重な箇所なのだそうです。
内陣と周歩廊の境に置かれた内陣壁には、キリストの生涯をテーマにした彫刻が施されています。
これは大分後の時代、16〜17世紀に作られたものですが、ぐるりと立体で展開されるキリストの物語は迫力があります。
こちらの写真の右側は、キリストの母マリアが神の子を身ごもったことを大天使ガブリエルに告げられる、受胎告知の場面です。
キリストの洗礼。
マリア様の優しい笑顔が印象的な聖母子。
黄道十二宮が描かれた時計もありました。
内陣に置かれた聖母被昇天の彫刻。
一説によると、聖母マリアは死後、キリストと同じように天に昇ったとされています。
その聖母が昇天する場面をテーマにした彫刻です。
天に向かって舞い上がる飛翔感。
高い窓から降り注ぐ色とりどりの光。
上へ上へと少しでも高みへ登ろうと、天上に焦がれる感覚こそ、ゴシック建築のめざした世界。
そしてカトリックの美意識でもあります。
おりしも、このときパイプオルガンが演奏されていて、光溢れるステンドグラスを見ながら大きな聖堂いっぱいに鳴り響くオルガンの音色を聴いていると、オルガンの響きが体に伝わってきて、あまりの荘厳さに心が揺さぶられました。
神の国がここにある。
そう感じられたひとときでした。
堂内にはこれまた有名な柱の聖母の像があるのですが、残念ながら修復工事中の一画になっていて、見ることが叶いませんでした。
聖堂の外側はさまざまな彫刻でびっしり埋め尽くされています。
こちらは日時計を持った天使。
内部のステンドグラスや外側を飾る彫刻たちは、ほんのひとにぎりの特権階級の人々しか文字を読めなかった中世から近代にかけて、民衆が見ることで聖書の物語や教えを理解できるようにするものだといわれています。
大聖堂の裏側にまわると、美しい庭園がありました。
大聖堂の床にはラビリンス(迷宮)と呼ばれる渦巻き模様があります。
この渦巻きを瞑想しながら辿り、中心部分まで行きつくと、真理を悟ることができる、神と一体になることができる、とされているそうです。
そのラビリンスを彷彿とさせる庭でした。