うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

フランスの旅、3日目①〜モンサンミッシェルの内部へ

モンサンミッシェルに泊まった、あくる日の朝。
どよ〜んとした曇り空で、時々雨がぱらついていました。
モンサンミッシェルは霧に包まれています。

f:id:utakatax:20151010185341j:image

この日は9時に満潮を迎えるため、ホテルで朝食をとってから島に渡り、島の中から満潮の様子を見ることにしました。

f:id:utakatax:20151010185644j:image

雨のモンサンミッシェルも、雰囲気があって素敵でした。
カモメがたくさんいて、鳴き声が常に聞こえてきます。

高台から見下ろす、島への道。
少しずつ満ちてきて、この日も水に沈みました。

f:id:utakatax:20151010190201j:image

f:id:utakatax:20151010190224j:image

f:id:utakatax:20151010190245j:image

見渡す限り海。
視界があまりよくなく、水平線も霧で滲んで見えるので、外界から遮断され閉ざされた空間にいるのだという想いがふつふつ込み上げてきます。
昔、ここに住んで祈りの日々を過ごしていた修道士たちに想いを馳せました。

道を少し引き返して、いよいよ建物内部の見学に向かいます。

f:id:utakatax:20151010190841j:image

見学のための入り口になっている門。
ここから入って、建物の内部に進むとチケット売り場に出ます。
そこで入場料を払って、見学がスタート。

見学は建物の最上部から、下へ下へと降りていく形で進みます。
まずは階段を登って、聖堂前、見晴らしのいい西のテラスに出ます。
が、この日は雨だったので、全然景色が見えません。
あまり絵にならなかったので、代わりに足元をパシャリ。

f:id:utakatax:20151010191052j:image

一つひとつの石に、このテラスを造る作業に携わった職人たちがマークを刻んでいます。
あとで工賃を計算する時に便利なように、自分の仕事がどれかをわかるようにするためだったとか…。

f:id:utakatax:20151010191523j:image

西のテラスに面して立つ教会。
ここから建物内部に入っていきます。

f:id:utakatax:20151011085733j:image

教会内部の床。
エルサレムの方角を示す目印がついています。

f:id:utakatax:20151011085910j:image

f:id:utakatax:20151011085935j:image

樹木の枝を思わせる縦に伸びるライン。
作りは典型的なゴシック様式です。

中庭。
かつてはこの回廊を歩きながら、修道士たちが瞑想していたそうです。
とても美しい空間。

f:id:utakatax:20151011090140j:image

中庭から望む聖堂。

f:id:utakatax:20151011090201j:image

二列に配置された柱は互い違いになっていて、立体感と奥行きを感じさせます。

f:id:utakatax:20151011090227j:image

右の柱上部にはキリスト磔刑図の彫刻があったことがわかりますが、削り取られてしまっています。
これはフランス革命のときに、一時的にキリスト教の批判する流れがあり(当時、僧侶は貴族と並ぶ特権階級でした)、教会関連のものが破壊されることがあったそうです。

f:id:utakatax:20151011090252j:image

柱上部には一つひとつ、植物が彫られていますが、全部違う植物とのこと。

f:id:utakatax:20151011090321j:image

f:id:utakatax:20151011090353j:image

回廊の外側の壁も美しい。

回廊を後にして、さらに先へ進むと、大食堂です。

f:id:utakatax:20151011094223j:image

船底のような空間で左右の壁には窓があるのですが、ぱっと見わからないような作りになっています。
ここにずらーっとテーブルと椅子が並び、食事の時間になると大勢の修道士が無言でもくもくと食べていたとか。

ヴェルサイユ宮殿でのモダンアートの展示が話題を集めていますが、古い建物にモダンアートを飾るのが流行りなのか、モンサンミッシェルでもモダンアートが飾られているところがありました。
この食堂もそのひとつで、鳥(おそらく島にたくさんいるカモメ)の羽を使ったアートが飾られていました。

f:id:utakatax:20151011152649j:image

下に降りていく階段の踊り場にある、モンサンミッシェル創設のきっかけになった大天使ミカエルのお告げ。
「あの島に教会を造るように」と言われている場面です。
お告げをうけた神父様、最初にミカエルが現れたときには悪魔だと思って無視。
そのため、2回目のお告げでは、真実であることを伝えるために頭に指を入れられてしまいます!
なんて、物騒。
この彫刻ではミカエルが神父の頭に手を置いているので、おそらく2回目のお告げの場面でしょうね。

f:id:utakatax:20151011153116j:image

f:id:utakatax:20151011153142j:image

細い柱が美しい広間。
暖炉があって、モンサンミッシェルへ巡礼にやってきた賓客をもてなす空間だったそう。

f:id:utakatax:20151012121628j:image

部屋と部屋の間に設けられた祈りの場。
シンプルですが、美しいステンドグラスでした。

f:id:utakatax:20151012121736j:image

f:id:utakatax:20151012121758j:image

太い柱と分厚い壁。
建物の下層部です。
この柱や壁が上部の建築を支えています。

f:id:utakatax:20151012124455j:image

f:id:utakatax:20151012124518j:image

f:id:utakatax:20151012124543j:image

大きな滑車。
牢獄として使われているときに造られたもので、下から荷物を運び上げるのに使われていたそう。
車の中に人が入って人力で動かしていたとか。

f:id:utakatax:20151012124806j:image

モンサンミッシェルで亡くなった方の遺体を安置していた場所。
ここで葬儀をして、滑車で外に運び出し、島内の墓地に埋葬していたとのこと。
十字架の下の台にはαとΩ。
物事の終わりとはじまりを表す文字が刻まれています。

f:id:utakatax:20151012125111j:image

キリストの亡骸を抱いて嘆く聖母マリア
ピエタの像がありました。

f:id:utakatax:20151012125213j:image

壁には13世紀頃のものとされている、古いフレスコ画の一部が残っています。

f:id:utakatax:20151012125332j:image

f:id:utakatax:20151012125355j:image

北と南の廊下。
石の階段と壁の空間にほのかに向こうから光が漏れてくる様子が、とても美しかったです。

f:id:utakatax:20151012172547j:image

何に使われていたのか、わからないという空間。
土台の岩がむき出しになっていて、ここが岩の島の上に造られた建造物であることを実感。

f:id:utakatax:20151012172714j:image

f:id:utakatax:20151012172744j:image

聖書の模写など、修道士たちが仕事に励んだと言われる部屋。
暖炉のある、おもてなしに使われた部屋と同じく、繊細な柱が美しいです。
ここにもモダンアートが展示されていました。

f:id:utakatax:20151012173722j:image

かつての病院、今はチケット売り場になっている空間に飾られた大天使ミカエルの像。
勇ましく、竜を退治している図です。
中世のヨーロッパでは、民衆の間で死後の世界、あの世での生活を心配する気分が高まっていたらしく、恐ろしい竜を退治する聖ミカエルはその不安を取り除いてくれる存在として篤い信仰を集めたそうです。

建物の外に出て、ぐるっと周りを回ると見学コースの出口があります。

f:id:utakatax:20151012174225j:image

f:id:utakatax:20151012174305j:image

建物を下から見上げると、高くそびえ立っていることがよくわかります。
ここで見学は終了。
帰りのバスの時刻が迫っているので、島の入り口へと急ぎます。

f:id:utakatax:20151012174416j:image

塀の上に大砲が設置されていました。

f:id:utakatax:20151012174502j:image

島の入り口から、教会へ向かう道の途中にも、聖ミカエルの像があります。

f:id:utakatax:20151012174734j:image

最後に、もう一度モンサンミッシェルの全景を。
これからホテルに戻ってチェックアウトし、バスでレンヌまで行き、そこから電車でサン・マロまで移動します。