Cinema:バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)
遅ればせながら、観てきました。
2014年のアカデミー賞受賞作品です。
あらすじは…。
かつてヒーローもの映画「バードマン」シリーズで主役を演じて人気を博したハリウッド俳優、リーガン・トムソン。
しかし、「バードマン」シリーズの次回作の製作を断ってからというもの、これといった仕事に恵まれず、スター俳優だったのは過去の栄光に。
家庭もうまくいかず、妻と離婚。
一人娘は薬物中毒と闘っているという、公私ともに落ちぶれたイケていない生活。
そんなどん底の生活を抜け出すため、全てを賭けて、彼が俳優を目指すきっかけをくれたレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』の舞台化に挑む!
あらすじを書いてしまうとなんのことはない、落ちぶれた中年男性がなんとか過去の輝きを取り戻したいと頑張る様子を描いた、よくありがちなストーリーなんですが、ワンカットの長回し風に編集された映像や、ドラムの効いたリズムのみのBGMなどで、ものすごくスタイリッシュでかっこいい作品に仕上がっています。
一切説明らしい場面がなく、それでもさらっとリーガンの置かれている状況や登場人物それぞれがリーガンとどんな関係にあるのかを分からせていく脚本も巧い!
手垢のついた物語でも、見せ方を変えるだけでこんなに面白くできる! という好例。
主人公のリーガンをかなり突き放したクールな視点で描いているので、どっぷり彼に感情移入させるような作り方はしていません。
あまりのイケてなさが滑稽で、最初は苦笑い、そしてジワジワ切なくなってきます。
また、知名度が高く人気もある舞台俳優マイクを演じているエドワード・ノートン。
彼が芝居の才能はあるんだけど、いけ好かない、一癖も二癖もある人物を好演していて、物語をぴりっと引き締めています。
彼は本当に華のある役者さんですね〜。
画面に登場すると、思わず彼に目がいってしまいます。
ラスト、救いがあるような、ないような…。
賛否が分かれそうですが、希望や光を感じることができる終わり方に思えるので、私は好きです。
★Information
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
(2014年、アメリカ)