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うたかた日記

流れていく日々の中で感じるよしなしごとを綴ります。

Cinema:バケモノの子

細田守監督、待望の最新作、「バケモノの子」を観てきました。

あらすじは…。
母親の突然の死。
この非常事態にも離婚した父は現れず、嫌味な親戚に引き取られるのが嫌な少年、蓮は、渋谷の街を彷徨ううちに、渋天街というバケモノたちが住む世界に足を踏み入れてしまいます。

めっぽう強いのに乱暴者で人徳がなく、弟子を絶賛募集中の熊徹に出会い、彼に弟子入りして強くなるため、修行の日々を送ることに。

九太という新しい名前を与えられた少年は、周りのバケモノたちのあたたかな好意に支えられ、さまざまなことを学び経験して大人になっていく…。

九太が大きくなり、蓮として再び人間社会に戻るまでの成長物語です。

ストーリーの軸になっているのは、父と子、師匠と弟子、という男同士の関係。
"強くなる"という、男の子らしい主題で進む前半と、強くなった後、己の心の闇とどう向き合うのかがテーマになる後半と、二つに分かれているように思いました。

テンポがよく、細かなところまで作りこまれたきれいな映像や、丁寧な演出で、楽しい作品ではあります。

が、ストーリー展開がうまくなく、主題の描き方が雑、という印象を受けました。
どうでもいいところは、たっぷり丁寧に時間をかけて映像で見せている割に、肝心なところはさらっと、登場人物に台詞ですべてを語らせるというアンバランスさ。

今回、テーマの一つになっている自分の中にある、暗くドロドロした部分、闇とどう向き合うのかというのはとても重たい題材で、丁寧に描いてほしいと思うのですが、その乗り越え方がもう…。

途中で登場する楓という女の子と、父親のような存在で師匠でもある熊徹の好意と助けであっさり乗り切ってしまってる!

なんとか頑張って乗り越えようと、葛藤している様子がほとんど見られず、「そんなんでいいのか〜っ!!」と思わず叫びたくなりました。

人生の重大テーマを、人の助けでいとも簡単に片付けてしまうというライトな感覚。
う〜ん、共感はできないなぁ…。

エンターテイメントとしてみれば、よく出来ている作品だとは思いますが、細田守監督はもっと深い内容で魅せる作品も作れる人だと思うんです…。
才能がある人だと思うだけに、この出来は歯がゆい。
期待していた分だけ、がっかり感がハンパなく、個人的にかなり残念な映画でした。

最後に。
細田守監督作品には、夏空がよく似合う、と思うんです。
映画を見た日は、細田作品の雰囲気にぴったりの夏日でした。

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★Information
バケモノの子
監督:細田 守
(2015年、日本)