Manga:谷口ジロー『千年の翼、百年の夢』(小学館、2015年)
先日観に行った、「ルーブル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄」の出口のところに設けられていた、お土産コーナーで買った漫画です。
谷口ジローさんと言えば、なんといってもドラマにまでなった『孤独のグルメ』ですよね。
原作付きの作品が多い印象ですが、細部まで描き込まれた独特の絵が、ときに主人公の台詞よりも雄弁にストーリーを語っていて、とても好きな漫画家の一人です。
その谷口ジローさんがルーブル美術館をテーマに、この展覧会の開催にあわせて描いた企画漫画ということで、どんな物語なのか興味を惹かれて読んでみました。
ストーリーは仕事でヨーロッパを訪れた男性が、せっかくだからと個人的に帰国日を遅らせてフランス・パリを観光する予定が風邪を引いてしまい、まだ重い体を引きずってルーブル美術館へ行くところからはじまります。
風邪がぶり返して熱にうなされ、夢とうつつの間をさまようなかで、主人公はルーブル宮の守り人に出会います。
そして、ジャン・バティスト=カミーユ・コロー、浅井忠、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、第二次世界大戦中、パリがナチス・ドイツに占領された1939年、ルーブルの宝を疎開させる大作戦の指揮をとるジャック・ジャヨールなど、ルーブル美術館と画家たちをめぐる時空を超えた不思議な経験をするのです。
ずっとルーブル宮の歴史を見守ってきたサモトラケのニケに導かれて、時空を超えた芸術の旅に出る…。
想像の範囲を超えない物語で、もっと深みのある話を期待していたので正直がっかりしました。
谷口ジローということで、期待しすぎだったのかもしれません…。
私は通常版で読みましたが、オールカラーの豪華版もあるそうですよ。
サイズもひとまわり大きいので、谷口ジローさんのきれいな絵がより楽しめそうです。
私が読んだ通常版はこちら。
オールカラーの豪華版。
私がはじめて読んだ谷口ジロー作品。
彼の絵の魅力が存分に発揮された傑作漫画。
手軽に読めるというのに加えて、巻末についている原作者の久住昌之さんのエッセイが楽しい文庫版。