初釜
ご縁があって、一昨年からときどき通わせていただいている茶の湯ワークショップ。
先生のお仕事の関係で、しばらくお休みだったのですが、久しぶりの開催。
初釜に参加してきました。
先生お手製の軽食。
のっぺい汁
はりはり漬け
黒豆
さらにお雑煮まで。
先生の郷里、新潟のお正月料理です。
お茶は初釜ということもあり、二服とも先生が点ててくださいました。
主菓子:花びら餅(一幸庵)
干菓子:越乃雪(大和屋)、雪つぶて(一幸庵)
お茶:初釜抹茶、大福茶(柳桜園)
ふわふわの食感の花びら餅。
大きさにびっくりしましたが、とろけるような舌触りでぺろっと入ってしまいました。
一幸庵さんの干菓子はなんと、大徳寺納豆入り!
うまみがぎゅっと凝縮された隠し味で、忘れられないひと口。
最後はリクエストに応えてくださり、お濃茶をみなさんで回し飲み。
年明けにきりりと身が引き締まる、ステキなひとときでした。
寿 初春大歌舞伎 昼の部 1/8
2か月にわたる高麗屋三代襲名披露公演。
NHKの生中継を観て、気分だけ味わえたのでいいか、と思っていましたが、数日前、3階席が戻っていたので「やっぱり行こう!」と観てきました。
かっこいい特別仕様のポスター3種。
襲名の祝い幕。
曙の空の色のぼかしが上品で素敵でした。
「箱根霊験誓仇討」
勘九郎さん&七之助さんに、愛之助さんががっぷり組んだ義太夫狂言。仇討にすべてをかける夫婦の情愛、ふてぶてしくて骨の髄まで悪い敵、妻の愛ある犠牲で起こる奇跡など、歌舞伎あるある、な物語。
面白く観ましたが、義太夫狂言のわりにさっぱりしすぎてて少し物足りなく感じました。
「七福神」
配役がぴったり。とくに鴈治郎さんの大黒さまと、又五郎さんの恵比寿さま。すごくハマっていました。
七福神が勢ぞろいして宝船に乗り込む絵は、本当に華やかでおめでたく、見ただけでご利益がありそう。
「菅原伝授手習鑑」車引
新・幸四郎さんは声が変わったような…。一瞬、「誰!?」と思うほど、太くて力強い声。喉が弱い印象があったのでびっくりしました。反面、身体の使い方があんまり…なのが気になりました。荒事なのに、らしさがなかったんですよね。
勘九郎さんの梅王丸、すごくよかったです!! 拵えが似合うし、一つひとつの動き、型がとってもきれい。足がしっかり割れて、腰の位置が低く、すごくキツい体勢だと思うんですが、ぴたっと決まってちっとも揺らがないんです。古典をがっつり、こんな勘九郎さんが観たかった♡
七之助さんの桜丸は、美しかった。キリッとしすぎてる感じがするので、もう少し柔らかさがあるといいなぁと思いました。
「菅原伝授手習鑑」寺子屋
なんて豪華な寺子屋! 子や孫を引き取りにくるお百姓まで、贅沢な配役です。
なかでも猿之助さんの涎くりが大御馳走。幕開けの手習の場面から、東蔵さん演じるおじいちゃんと手をつないではけるところまで、本当に面白くて、客席は大よろこびでした。
新・白鸚さんの松王丸はいつもの感じで、繊細でリアルな芝居と聞かせる台詞回し。現代的な味が強いですが、梅玉さんの源蔵もさらさらしているので、芝居の温度感はぴったり。
雀右衛門さんの戸波の安定感! いつも変わらず、質の高い芝居。雀右衛門さんがいてくださるとほっとします。
魁春さんの千代はしっとりと丁寧で、この千代の嘆き、悲しみが一番印象的でした。
最後に登場する藤十郎さんの園生の前。出てくるだけで場が華やぎ、芝居がきゅっとしまる、さすがの存在感でした。
幕内のお弁当は、一度食べてみたかった海苔弁山登り。
歌舞伎座地下、木挽町広場のお弁当売り場、やぐらで買えました!
包装を見るに、歌舞伎座の特別仕様の品のようです。
高級海苔弁、美味しゅうございました。
★Information
壽 初春大歌舞伎
歌舞伎座
1/2(火)〜1/26(金)
昼の部
一、箱根霊験誓仇討
箱根山中施行の場
同 白滝の場
飯沼勝五郎:勘九郎
滝口上野/奴筆助:愛之助
女房初花:七之助
母早蕨:秀太郎
二、七福神
恵比寿:又五郎
弁財天:扇雀
寿老人:彌十郎
福禄寿:門之助
布袋:高麗蔵
毘沙門:芝翫
大黒天:鴈治郎
三、菅原伝授手習鑑
車引
松王丸:染五郎 改め幸四郎
梅王丸:勘九郎
桜丸:七之助
杉王丸:廣太郎
金棒引藤内:亀鶴
藤原時平:彌十郎
松王丸:幸四郎 改め白鸚
武部源蔵:梅玉
千代:魁春
戸波:雀右衛門
涎くり与太郎:猿之助
百姓吾作:東蔵
春藤玄蕃:左團次
園生の前:藤十郎
国立能楽堂 一月定例公演 能「難波」狂言「松楪」
2018年も、芝居初めは能楽から。
能「難波」(金春流)
「難波津に咲くやこの花冬ごもり
今を春べと咲くやこの花」
仁徳天皇と難波の梅の花にまつわる世阿弥作の曲。
百済国から日本にやってきた王仁と花のように美しい女神・木花開耶姫が太平の御代を言祝ぎます。
穏やかな海、さわやかな風、静かな大地…
昔から人々が願うことは変わりません。
ゆったりした流れに、眠気を誘われて、半分くらい夢の中でした…。
狂言「松楪」(大蔵流)
年貢として、楪を納めにきた丹波国のお百姓と、根付き松を納めにきた摂津国のお百姓。
「年貢にまつわる和歌を一首詠め」のムチャぶりに応え、褒美としてお酒を賜って、舞を舞う、おめでたい演目。
舞の最後に片膝をどんっと着いて座る、カッコいい終わり方でした。
★Information
国立能楽堂一月定例公演
能「難波」(金春流)
前シテ/老人 後シテ/王仁:金春安明
前ツレ/女 後ツレ/木花開耶姫:金春憲和
ワキ/廷臣:殿田謙吉
ワキツレ/随臣:大日方寛
ワキツレ/随臣:則久英志
アイ/梅の精:山本則秀
笛:一噌隆之
小鼓:曽和正博
大鼓:内田輝幸
太鼓:三島元太郎
後見:本田光洋 横山紳一
地謡:中村昌弘 山中一馬 本田芳樹 高橋忍 本田布由樹 辻井八郎 後藤和也 山井綱雄
シネマ歌舞伎「熊谷陣屋」
あけましておめでとうございます。
2018年のエンタメ初めはこちらから。
前の歌舞伎座のさよなら公演、最後の月に演じられた芝居を映画化したものです。
吉右衛門さんの熊谷を筆頭に、藤十郎さんの相模、魁春さんの藤の局、梅玉さんの義経、そして富十郎さんの弥陀六! と超・豪華な配役。
8年前の舞台なんですが、義太夫も含めてこってり濃厚。
みんな情がしたたりおちそうなほど、じゅるじゅる。
空気感もテンポも、10年も経てばかなり変わるものですね。
これに比べると、今の時代物の芝居は随分あっさりとしています。
なんといってもやはり、吉右衛門さんの熊谷が素晴らしいです。
歌舞伎らしい美しい型、絵になる姿と、リアルなお芝居がうまく溶け合って、時代物のひとつの極み。
このころは芸に脂ののっている時期だったようで、全編にわたって気迫にみなぎる演技が、我が子を犠牲にした哀しみを押し隠して忠義を尽くそうとする熊谷の境遇と重なって、すごい迫力でした。
「十六年はひと昔。夢だ、夢だ。」と泣く姿が哀しくて哀しくて…。
「熊谷陣屋」は一昨年、芝翫さんが襲名公演でなさったときの型が新鮮で、印象に残っていたのですが、従来のこの型はお芝居らしいこってりさがあって、やはりよいですね。
弥陀六役で富十郎さんのお芝居が観られたのも、嬉しかったです。
からっと明るい富十郎さんの舞台姿、軽やかな踊りとともにとっても好きでした。
★Information
シネマ歌舞伎「熊谷陣屋」
2010年4月 歌舞伎座
熊谷直実:中村吉右衛門
白毫弥陀六:中村富十郎
藤の方:中村魁春
堤軍次:中村歌昇(現・又五郎)
源義経:中村梅玉
相模:坂田藤十郎
京王線仙川駅の南側を歩く
多摩武蔵野スリバチ学会会長、真貝康之さんの案内で、京王線仙川駅の南側を歩きました。
新潮講座の主催する地形散歩のとある回。
国分寺崖線の崖、武蔵野台地の段丘、入間川の作った谷と複雑な地形。
高低差がかなりあり、よく残っている古い道は地形に沿ってくねくね蛇行。
地図を見ていても、どこを歩いているのかわからなくなってしまう、方向音痴には危険な地域でした。
古墳の上にある槽嶺神社から見た入間川。
三面コンクリートで覆われて、悲しい町の川、といった感じです。
入間川と野川の合流地点。
市の境界が複雑に入り組んだ一帯が。
こちらは狛江市、あちらは調布市。
珍しい!多面体の形の校舎。
戦時中に作られた高射砲陣地の跡。
台座の一部です。
住宅街の中にさりげなくあって、言われないと絶対に気づかない…。
国分寺崖線の縁からの景色。
ちょうど夕日が美しい時間帯でした。
端っこに京王線の線路が見えて、なんだかノスタルジーを感じる眺めです。
国立劇場 12月文楽公演「ひらかな盛衰記」 12/10
源平合戦を描いた時代物。
木曽義仲と忠臣たちのエピソードを上演。
毎年、わりと若手の人中心に組まれる12月公演。
鑑賞教室の方が気合の入った贅沢な配役で、本公演のこちらは少し変則的。
蓑二郎さんの腰元お筆と、玉志さんの船頭松右衛門、実は樋口次郎兼光が観たくて、前半の日程で鑑賞してきました。
木曽義仲と奥方・山吹御前。
それぞれの主君に尽くす樋口とお筆がかっこいい。
そして槌松と駒若君のちんまり感!
人形ならではの可愛らしさ。
駒若君を狙う追手たちと立ち回り、重なる心労がたたって息を引き取った山吹御前を、笹の舟に乗せて引いていく笹引の段、咲甫太夫の語りに清友さんの三味線、蓑二郎さんのお筆がばっちりかみ合って、とてもよかったです。
後半の樋口次郎兼光が主役になるエピソードは、どうしても最近観たばかりの、歌舞伎の舞台と比べてしまいます…。
感情を爆発させて大きく動く、人形ならではの味わいももちろん面白いけど、微妙で繊細に揺れ動く心のうちは伝わってくる、役者による演技もいいんですよね。
歌舞伎で観てた時は感じませんでしたが、松右衛門内の段、奥を呂太夫が語っていたのもあって、「上方言葉で作られた芝居なんだ」ということを強く感じました。
★Information
12月文楽公演
「ひらかな盛衰記」
義仲館の段/大津宿屋の段/笹引の段/松右衛門内の段/逆櫓の段
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2017/18 バレエ「不思議の国のアリス」
白ウサギを追って、不思議な世界に落ちた少女アリスの大冒険。
ルイス・キャロル原作の物語が、振付家クリストファー・イールドンをはじめ、素晴らしいスタッフの手によってバレエに。
スミレ色のドレスをまとったローレン・カスバートソンの上品でちょっとヘンな子のアリス。
ラウラ・モレーラの怖くておかしいハートの女王。
軽やかに踏むおしゃべりなタップが面白い
スティーヴン・マックレーのマッド・ハッター。
次から次に出てくる個性あふれるキャラクターたち。
まるでおもちゃ箱をひっくり返したような面白さ。
あふれるアイディアを見事に形にした振付、音楽、衣装にセット。
そして素晴らしいダンサーたち。
最高のエンターテイメントでした!!
★Information
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
指揮:クン・ケセルス
アリス:ローレン・カスバートソン
ハートのジャック:フェデリコ・ボネッリ
ルイス・キャロル/白ウサギ:ジェームズ・ヘイ
ママ/ハートの女王:ラウラ・モレーラ
マジシャン/マッドハッター:スティーヴン・マックレー